(メモ)予算は停止されているの? (常総インターチェンジ周辺整備)

常総市平成27年度予算には「圏央道常総 IC 周辺整備事業 51,094千円」が盛り込まれています。
この予算には、対象地の全ての地権者の同意を得るまで使用できないという条件が付いているそうなので、その根拠を探してみました。


その際の検索した結果などを、置いておきます。
基本的には自分用の記録で、読んでいただくことを期待したものではありません。


結果としては、私の理解できる範囲では、そんな条件は付いていませんでした。


ただし、別の話になりますが、4億5千万円の債務負担行為を議決する前(4月1日)に、5億円の助成金を前提にした要綱を作成し(50万円を?)支出したことは、地方自治法第222条2項に違反していると思います。
とはいえ、違法行為として法的責任を問うのは、 51,094千円分の予算は3月に議決してましたし、5月議会の補正予算(債務負担行為)の可決により違法状態は治癒されているので、難しいと感じます。
追記
副市長はこのように述べけていますが、これは222条1項の話で、同条2項の話ではないと思う。

2015.06.03:常総市平成27年5月定例会議(第6回会議) 本文
132 ◯副市長(塩畑 実君) 議員がおっしゃるところなんですけれども、認めているという趣旨じゃないですよ。第222条をお読みいたしますと、普通地方公共団体の長は条例その他議会の議決を要すべき案件が新たに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が的確に講ぜられる見込みが得られるまでの間はこれを議会に提出してはならない、ここに抵触するんじゃないかというお話かと思いますけれども、前段のところは条例その他の議会の議決を要すべき案件、条例は条例ですよね。その他議会の議決を要すべき案件というのは、法律的には地方自治法の、今回追加議案でお示ししたような工事請負の案件ですか、あれに書いてありますように、地方自治法第96条に基づく案件の場合ということになりますので、今回の件については、あくまでも三者協定を結ぶに当たっての債務負担というところになりますので、その協定書そのものは議会の議決を要すべき案件ではございませんので、基本的にこの222条には該当しないということになるかと思います。


話を元に戻すと、予算に制限(条件)を付けることは法的に不可能なようで、賛同できない支出がある場合は、予算案を否決し再提出させるしかなく、たとえ付帯決議があっても無理なようです。
どうしても支出させたくない予算があるなら、市議会で条令を作るしかないのでしょう。
妄想をたくましくすると、議員さんたちは、誰かから「意見をつけておけば予算の支出を止められるよ」って、騙されちゃったんじゃないでしょうか。


なお、常総市のウェブサイトの公開情報に多くを依存していますし、議会の独特な用語の使い方や、慣習もあるでしょうから、断言はしません。
他の考え方や、情報などをお持ちの方は、お教えいただけると、ありがたいです。


(追記 読みにくい部分も有ったので、2015年7月19日に、言い回しや説明の順番など、一部を修正しました。文意は変えていません)



以下、収集した情報。

付帯決議の重要度は?

付帯決議には法的拘束力はありません。
常総市のように「予算特別委員」の「意見」だけでは、なおさら拘束力はないでしょう。

付帯決議(フタイケツギ)とは - コトバンク

デジタル大辞泉の解説
ふたい‐けつぎ【付帯決議】
議決された法案・予算案に関して付される、施行についての意見や希望などを表明する決議。法的拘束力を有しない。
大辞林 第三版の解説
ふたいけつぎ【付帯決議】
議決された条約・本案などに関して,施行細則・解釈の基準などを希望意見として表明する決議。法律上の効果を伴わない。

反則法制 附帯決議

第三に、決議案は本会議での提案理由の説明、質問に対する答弁の準備等が必要であり、最終的には本会議で表決の対象になりますが、附帯決議案は委員会で可決された意思であり本会議へは委員長から報告されるだけで表決の対象になりません。附帯の対象となった案件について議員が表決態度を決めるときの参考になるだけです。

「附帯決議」を理解しない市長と議会の呆れた行動: こまき無答塾ブログ

★附帯決議とは
 附帯決議とは、議案を議決する際、付け加えられる議会の意見や要望のことをいいます。法的な拘束力はありませんが、政治的に尊重されるべきものとされています

国会と地方自治体の議会では付帯決議の扱いは異なる(地方議会の場合は委員会で決議するらしい)が、法的拘束力がないことは同じ。


議案に制限をつけることはできるのか?(条件付き表決の禁止)

会議のルールとして「条件付き表決の禁止」というのがあります。
表決というのは個々の議員が賛否を表明することなので、今回の件が該当するわけではありません。
しかし、その考え方を流用すると、今回の「地権者の同意があるまで」という確定できない条件を付けることは、そもそも、できないと思います。

議会のあらまし(条件付き表決の禁止の原則) - 坂出市ホームページ

自己の表決を、条件の成否にかかわらしめることを禁止する原則である。「条件」とは、その法律行為の効力の発生又は消滅を、実現するかどうか確定していない将来の事実にかかわらせることである。
会議体の意思は、表決が終了した時点で確定されるべきものである。条件付き表決を認めるならば、その条件の成否が判明するまで、議決は確定できない。いつ確定するか、時間的に定かでない。(略)
なお、「附帯決議」は、条件つき議決ではなく、議案審議のなかで表明された意見をとりまとめた希望、勧告、警告などの表明であり、その実施にあたる行政機関を拘束するものではない。
(全国市議会旬報より引用)

平成27年度予算の議事録

予算特別委員長の「地権者全員の同意が得られた後に予算を執行すべきであるとの意見(略)があったことを申し添えます」との発言がある。
これを一般的な言葉の使い方で考えると、「そういう意見を持つ委員も居た」というだけで、委員の多数意見でも、総意でも、委員会としての意見でも無いはず。

2015.03.16:常総市平成27年2月定例会議(第22回会議) 本文
95
◯予算特別委員長(茂田信三君) 予算特別委員会に審査のため付託されました案件の審査の結果を御報告申し上げます。
 議案第108号平成27年度常総市一般会計予算、以上の件については、執行部より詳細な説明を求め、質疑を行い、なお細部について分科会を設置し、これに付託の上、慎重に審査を行った結果、いずれも原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 この議案第108号については反対があり、起立採決により決したことを申し添えます。
なお、8款土木費、4項都市計画費、2目産業用地創出事業費中、 圏央道常総インターチェンジ周辺整備事業については、本事業にかかわる地権者全員の同意が得られた後に予算を執行すべきであるとの意見、また遠距離通学費補助金については、地域性や通学状況を勘案し、児童生徒に不公平感を生ずることのないよう、再度検討を行うことを強く求めるとの意見があったことを申し添えます。
 以上でございます。
(この後、質疑は無し。討論は二人の議員がおこなっているが、常総 IC の予算について直接の言及は無し)
(なお、同日の建設経済委員長からは、常総 IC に関しての発言は無し)

委員会の報告書ではどうなっているのか

委員会の報告書には議会での発言以上のことが書かれているのかもしれませんが、常総市議会のウェブサイトでは委員会の議事録も委員会報告書も公開していません。
よって、委員会の内容などは全く分かりません(議会事務局に請求すれば閲覧可能とは思いますが)
福岡県古賀市のように委員会報告書も公開してくれるとありがたいんですけどね。委員会報告書| 市議会| 古賀市オフィシャルページ



委員会と議会の関係

「委員会審査独立の原則」という原則がありますが、これは委員会は議会からの干渉を受けないというもの。
議会が委員会から独立しているということではありません。しかし委員会の結論は委員会の結論でしかないので、議会を拘束しないはず。
そもそも委員会へは議会が“付託”しただけなのですから、議会が委員会報告に従う義務も無いでしょう。もちろん委員会の報告などは尊重すべきですが。


また、「委員会審査独立の原則」には、委員会は、他の委員会からの干渉も受けないという意味も含まれています。
たとえ建設経済委員会が常総 IC 周辺開発についての意見や決議を持っていたとしても、予算特別委員会は、拘束はされないということに。


条件は有効なの?

「地権者全員の同意が得られた後に予算を執行すべき」という条件になっていますが、その中には地権者推進協議会への助成金が含まれています。
(というか殆どが助成金で、他は職員が使う(?)自動車費用や旅費などです)
地権者推進協議会などにとって、今年度の最も重要な事業は地権者の合意形成でしょう。から同意を得られるようにすることでしょう。
となると、最も重要な事業を終わらせなければ予算を支出できないという条件になっているわけで、まるで、お菓子を食べてもいいけど袋を破いてはダメ、と言っているようなものでは?
論理的に無効な条件に思えます。
( 同意の取り付けは、戸田建設の業務範囲には含まれていないはずです。市の予算を使えないとなると、必要な経費は事業に同意した地権者が自腹で支出し、全員の同意が取れたら市の助成金から返金するこという、かなり変則的なことになってしまう)


議会中継・録画

平成27年5月定例会議 5月27日 本会議 17分ころから25分ころまで。
債務負担行為を4億5千万円ではなく5億円とした理由を企画部長と副市長が説明している。
答弁での当初予算の5千万円(主に測量費)を執行できない場合というのは、一部の地権者から了解を得られず、全ての測量を完了できない可能性を考えたとも解釈できます。
(だからといって、債務負担行為の金額として5億円というのは意味不明ですが)
良くわからない答弁ですね。
(このやりとりを、コメント欄で 測量はいつから? さんが文字にしてくださっています)



平成27年5月定例会議 6月10日 本会議 26分ころ 質疑
遠藤章江議員 地権者推進協議会への助成金の支出の根拠となる要綱を制定した4月1日には、5億円の予算処置(債務負担行為含む)は議決していない。それなのに5億円の予算を前提にした要綱が制定されているのは地方自治法第222条2項に触れるのでは?
予算特別委員長 地方自治法第222条2項には抵触しない。(答弁終わり)
(答弁は本当にそれのみで、その理由は全く話していません。水野議員からの同じ質問に対しても理由を言わず抵触しないと言うのみです(41分ころ)。 違法行為だと分かっているから、強弁するしかないのでしょう)


(なお、総務省が抵触していると言っているのは、地方自治法第222条2項に書いてある「規則その他の規程」には要綱も含まれるという点だけであって、今回の常総 IC 周辺の助成金の要綱が法に触れるかどうかという点の判断まではしていないような気がします。具体的な総務省の回答文が分からないので不明ですが。)



平成27年5月定例会議 6月10日 本会議 43分ころ49分ころまで 討論
遠藤章江議員 要綱行政ではないか。成田空港のときも要綱をたてにとって反対する地主から土地を強制的に収容していった。常総 IC 開発でも強制的に収容する場合もあるという職員の発言があった。事業の進め方として、赤信号ではないか。

要綱行政(ようこうぎょうせい)とは - コトバンク

自治体が法律や条例によらず,独自の指導要綱を定め市民や企業に対し行政指導を行うこと。

水野議員も討論に立ち、地方自治法第222条2項に関しての総務省の見解(?)の紙を議員などに配布したと述べています。
でも、会議で取り上げるなら内容を読み上げるべきでしょう。議事録に残らないので議会のルールとして問題があります。情報開示請求の対象にもならないと思うので、市民には知りようのない情報で議論してはダメでしょ。



平成27年5月定例会議 6月10日 本会議 1時間00分ころ 討論
堀越輝子議員
さきほどの(遠藤章江議員の言う)成田空港の場合は左翼の扇動があった。常総 IC 開発でも反対地権者を煽って大きくするようなことがなければ、行政や地権者の賛成者が多く、国や県からの手応えもあったので、スピード感を持って進めるのが大切。(遠藤章江議員が)事業自体に反対ではないのなら、反対者との勉強会を開くなどの努力が大切ではないか。
(議会で左翼という言葉がでてきたことに少々驚きました。議事録検索では左翼も右翼も今までは使われたことは無い単語です。堀越議員は警察勤務の経験があるそうですし、政治的立場も自民党に近いようですから、こういう見方になるんでしょうな。辺野古についての見解も聞いてみたい。)



地方自治法

(予算を伴う条例、規則等についての制限)
第222条 普通地方公共団体の長は、条例その他議会の議決を要すべき案件があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない。
2 普通地方公共団体の長、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関は、その権限に属する事務に関する規則その他の規程の制定又は改正があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられることとなるまでの間は、これを制定し、又は改正してはならない。


追記

議員連盟をつくり7月14日に第1回通常総会を開く

【茨城新聞】圏央道常総IC 開発推進へ議連 20人、調査研究へ

市議22人のうち、自民、公明、共産各党や無所属の20人が名を連ねた。顧問・・・

活動報告(7月14日): 【おおさわ清 後援会】オフィシャルブログ

本日は、『圏央道常総インターチェンジ周辺開発整備推進議員連盟』長っ!
の第1回通常総会に出席しました。
議員連盟は私を含む20名の議員と、顧問として茨城県議会議員の飯田智男先生と神達岳志先生で構成されてます。

『都市計画と税』: 【おおさわ清 後援会】オフィシャルブログ

(IC周辺開発推進議員連盟のメンバ−は、遠藤ふみえ議員と水野議員以外で構成しております。しかし御両人は決して計画に反対している訳ではありませんと発言しております。)