(メモ)常総市圏央道常総インターチェンジ周辺整備事業(アグリサイエンスバレー構想)

あまり関心は無いのですが、普段、常総市のことを取り上げているのに、アグリサイエンスバレーについて何も書かないのは不自然なので、記事にしました。
今後、何か有った際には、ここに追記するように書いていくと思います。
基本的には自分用に記録しているものですし、内容も引用・転載ですので、読んでいただく価値はないと思います。


感じていること

・事業対象地域は優良な水田なのに、開発してよいのかという点について。  現在の日本では米の(潜在)自給率は 100% を超えており、米作りからの転作は国の施策として推奨されている。(しかも茨城県のコメの生産調整の達成率は極めて悪く過剰生産している 茨城県は畑の整備を進めようとしている) 今回の対象地域も施設園芸や農業に関連した施設にするそうなので、国や県の施策に合致している。方向としては問題ないのではないか。この水田を残すとしたら、他の地域の水田が潰れることになる。事業対象地域のように他の用途にできる水田があるなら、そこを潰すほうが合理的。(太陽光発電は水田にも作れるようにすればよかったのにと思うんだけどね。山林や別荘地も伐採せずにすんだ 太陽光発電の環境破壊を見る(上)−山梨県北杜市を例に : Global Energy Policy Research )
・予算を約5000万円の予算と、4億5千万円 5億円の補正予算(債務負担行為)に分けたことについて。 常総市の議員の任期は4月までだった。残りの任期が2ヶ月の議員には平成27年度の支出の 5000万円のみを審議してもらい、他は選挙後に審議してもらうというのは、議会(議員)を尊重した判断にみえる。(残り任期2ヶ月の議員に5年後(7年後?)までの予算を審議させるほうが問題がある)
・債務負担行為というのは、次年度以降の支出の上限を定めているだけ。4億5千万円 5億円の債務負担行為といっても、実際に支出するには、議会での予算の承認が必要。地方財政情報館/財政用語小辞典:債務負担行為  常総市が5億円を助成金として支出することは平成25年の事業計画時に想定されていた。
坂東市ではパーキングエリアに道の駅を設置するそうです。道の駅は通常、安くても2〜4億円程度かかるようです(常陸太田市のは約10億円)。比較できるものではありまぜんが、インターチェンジ周辺の開発が5億円でできるのであれば、パーキングエリアよりも使いでのある税金の支出では。(しかも、道の駅は人件費や建物の維持費などの支出が継続する可能性がある。周辺開発事業は成功すれば税収が増えて回収できる)
・問題点は多数あるようだが、問題点を指摘する場合は、面倒で理解しにくくても正当に説明すべき。わかりやすく感情的なだけだったり、誤解させる表現の指摘は、逆効果。
・ここまで事業がすすんでは、後戻りは不可能かと。無駄な税金の支出にならないよう、支出は(名目は問わず事業地に対しては)5億円を超えさせないことを市長や執行部、市議会が確約していただきたい。また事業が失敗(中断)に終わった際の費用負担はどうするのか、特に販売予定の土地が売れなかった場合や園芸設備の借り手がいなかった場合は、事業者(戸田建設)や地権者の負担にすることを明示して欲しい。(新聞記事によると、事業費のうち 35億円は戸田建設の“立て替え”となっており最終的な支払者が誰なのか不明。事業主体は常総市や地権者の組合なので、市にも負担が求められそう)
・5億円というと、常総市民一人あたり1万円弱を負担することになる。一般の市民にも1万円分の見返りがあることを、賛成した議員は説明する必要がある。事業が成功すれば税収が1億1千万円、雇用1千人くらいらしいが、前提条件を明らかにすべきかと。(平成27年5月議会の答弁で明らかになったので下に引用しました)
・平成25年に事業計画書があるということは、平成24年8月に市長になった高杉市長は内容に殆ど関われないのでは。そもそも1〜2代前の市長の時に始めていなければならない事業だったのでは。(議事録によると、事業内容は高杉市長のもとでつくられているので削除しました)
・地権者の多くは自分で耕作するのではなく、事業で整備された土地を貸すことを希望しているよう。個人の資産価値を上げるための事業と疑われても仕方が無い。ちがうのなら、そうではないと示すべきでは?


事業の成功後の税収等の見込み

上記で書いた「事業が成功すれば税収が1億1千万円、雇用1千人」という根拠が議会で示されていましたので議事録から抜粋しておきます。

2015.06.02:常総市平成27年5月定例会議(第5回会議) 本文
163 
◯都市建設部長(小林 茂君)(略)
 議員の御質問にありました、企業誘致による税収と雇用についてでございますが、事業完了後における税収の見込みにつきましては、約20ヘクタールの都市的土地利用エリアを市街化区域に編入いたしますので、現在の農地としての固定資産税が約40万円から、約4,300万円になるものと想定しており、約4,200万円の税収増を見込んでおります。
 また、建物についてでございますが、どのような建物が建つかということもございますが、おおむねの試算といたしましては、この20ヘクタールで建ぺい率が60%として、1棟当たり約1,000平米の一般的な平屋建ての倉庫が10棟建ったと想定し、この建物にかかる固定資産税として約7,000万円を見込んでおります。
 よって、土地と建物の固定資産税といたしましては、年間約1億1,000万円程度です。そのほかに、償却資産にかかわる固定資産税や法人市民税などを含めますと、先ほど申し上げました1億1,000万円を上回る税収が確保されることが見込まれているものと想定をしております。
 続きまして、雇用者についてでございますが、希望的推計を含みますが、類似事例を参考に試算をいたしますと、企業誘致エリアで1,000名程度、農業生産エリアで200名程度、合計で1,200名程度が見込まれるものと考えております。

第2回の検討会議議事録16ページにも同様な税収の見込みが書かれています。





事業の概要(常総市のウェブ・サイトにある資料から抜粋)

常総IC周辺地域整備事業/常総市ホームページ


第4回検討会議資料-05 (PDF:7.6MB)



常総市圏央道(仮称)水海道インターチェンジ周辺地域 事業計画書【概要版】 平成 25 年


保留地とは? - 郡山市喜久田東原土地区画整理組合

土地区画整理事業では、土地を造成する際、受益者負担に基づき権利者より土地を提供(減歩)してもらいます。
減歩により新しく生み出された土地は、公共用地(道路、公園等)と売却する土地と分けられます。
このうち、売却し事業費の一部にあてられる土地を保留地と呼びます。

地区除外決済金は、どうして納めなければならないの?
農地転用などで田をやめる場合、その土地の維持管理費や償還金等を残りの土地で負担しなければならなくなり、残りの組合員の負担になってしまい、不公平になってしまいます。そこで残りの組合員の負担を解消するため、その土地の負担相当分を精算するものとし、決済金が徴収されます。

除外決済金は、今回の開発の対象にならない周辺に拡がる土地改良区に支払うお金なのだろうけど、地権者が負担すべきものですよね? 最終的には土地の売却益で充当するにしても、売れなかったら、誰が負担するの?


第2回検討会議 (戸田建設を事業者にするかどうかを決定する会議)

第2回検討会議議事録(PDF:711.3KB)平成26年6月26日開催戸田建設の企画提案書の内容について説明している




第2回検討会議資料-06(PDF:1.2MB)戸田建設 企画提案書 平成26年5月26日
http://www.city.joso.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/18/kentou2-06.pdf
バイオマス発電事業
(この時点では太陽光発電を除外していないようなので、バイオマス発電は太陽光発電とは別に戸田建設が売り込みたい事業だったようです。それにしても戸田建設には実績が無いの? アナージア社って何? ホームページもみつからないんですけど)

なんで、バイオマス発電という話が出てくるのかと思ったら、契約覚え書きで再生可能エネルギー施設を作ることを盛り込んでいるからですね。収益や負担の精査をして再考した方がいいと思う。
http://www.city.joso.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/18/kentou5-07.pdf 覚書 平成26年7月7日
議事録を見ると、バイオマスの原料が足らないようです。

 

検討経緯

経緯を見ると、かなり大変だったようです。引き返すのは心情的にも不可能でしょう。

第1回検討会議資料-04(PDF:474.5KB)
常総インターチェンジ周辺開発の協議経過について
平成21年3月


平成25年度





このヒアリング結果を見ると、殆どの地権者の方は、自分で耕作するのではなく賃貸収入を得ることを意図しているようですね。
面積が小さくなっても、水田の時より多額の賃料を得られそうだけど、そうなのかな。
第5回検討会議資料‐5(PDF:2.8MB)



新聞記事

常総市戸田建設・地権者協議会が基本協定を締結(2015年6月30日)

【茨城新聞】常総IC周辺開発で協定 「食農団地」推進へ

計画によると、IC北側の約40ヘクタールを「農地的土地利用エリア」と位置付け、大規模園芸施設や観光農園などを整備。IC南側の約20ヘクタールは「都市的土地利用エリア」として、加工や物流、直売施設などを設ける。
協定によると、北側は土地改良事業によって農地を集約。南側は戸田建設を業務代行者とする組合施行の土地区画整理事業を行う。
事業の認可後、2017年度着工、21年度の事業完了を目指す。総事業費は約40億円。このうち市の支出は5億円で、残りは戸田建設が立て替え、工事後の土地売却により、同社が回収する
同地区は優良農地が広がる。市によると、地権者は104人。聞き取り調査では9割以上が計画に賛同している。正式に同意を得た上で、測量や62ヘクタール内で土地交換を行う。

常総IC周辺に農業振興施設 市や地権者ら推進協定 常陽新聞

計画によると、IC北側の約41㌶は農用地として残し、市または土地改良区が事業主体となる土地改良事業を行う。この農地的土地利用区域には、農地の集約と大区画化により、施設園芸への転換を図る
 IC南側の約21㌶は農振除外による都市的土地利用区域として、戸田建設を業務代行者とする地権者組織による組合施行の土地区画整理事業を行い、市街化区域に編入する。
都市的土地利用区域には農業6次産業化の農産物加工や農産物の販売、流通を図るため、物流と産業系の企業誘致を計画し、地元雇用の創出に役立てる産業団地を整備する
 農地的土地利用区域と都市的土地利用区域の全地権者は、それぞれの区域で同じ面積割合となるよう土地の等価交換を行う。
 事業の概算事業費は約40億円。このうち市は助成金として7年間にわたり5億円の債務負担行為を行う。

圏央道常総IC 毎日新聞

協定を締結したのは、常総市戸田建設(東京都中央区)、地権者による同IC周辺地域整備事業推進協議会の3者。市は行政手続き、戸田建設は工事、推進協は会員102人の合意形成などを図り、互いに開発に協力する。高杉徹市長は「市の歴史にとって画期的な日。農業を中心にしたこの大規模開発は、これからの日本の発展のモデルケースになる」とあいさつした。

議事録などから

常総市のウェブサイトより)
第5回検討会議議事録(PDF:822.1KB)

常総市の負担は5億円を超えることは無いと、事務局と戸田建設は明言




助成金交付要綱

上限5億円と明記されている
第5回検討会議資料‐4(PDF:278.9KB)



質疑応答

地権者に負担が無いことを約束しているわけではない。

平成27年6月3日(水曜日)の遠藤章江議員の一般質問への市長の答弁でも、負担が無いとは言っていないと明言。

2015.06.03:常総市平成27年5月定例会議(第6回会議) 本文
157 
◯7番(遠藤章江君) (略)
 あともう一点、これから事業が進むに当たっては、土地改良区の精算金などいろいろなもろもろの事務手続費用がかかってくるんですけども、その費用については自分たち地権者が支払わなくていいのか、これを一番心配しています。この点について、市長は地権者の協議会の中で少しお話しされたようなんですけども、この件について御答弁をお願いいたします。
159 
◯市長(高杉 徹君) 私が地権者の方たちと話したというのは、多分なるべく負担がかからないような形でやっていきたいということは言ったと思います。
163 
◯副市長(塩畑 実君) (略)
 またもう一つ、改良区の転用決済金関係の話でございますけども、それについて負担がゼロになるという話をしたということは、ちょっと私どもがした覚えはないところなんですけれども。

2015.06.03:常総市平成27年5月定例会議(第6回会議) 本文
◯産業拠点整備課長(木村茂樹君) ただいまの議員の御質問にお答えをいたします。
 先に始めます測量の経費の立て替えの件でございますが、事業協力者であります戸田建設のほうで立て替えて先行して測量に入るということになっております。万が一、事業が頓挫したらということでございますが、そのときは戸田建設の欠損金ということになろうかと思います。市のほうで測量費用ということで5,000万円は計上してございますが、これは精査をしました後に支払いを行うということでございますので、成果が出ないうちには支出はいたさないということでございます。

この事業を取り上げているブログなどへのリンク

活動報告(7月14日): 【おおさわ清 後援会】オフィシャルブログ

議員連盟は私を含む20名の議員と、顧問として茨城県議会議員の飯田智男先生と神達岳志先生で構成されてます。

一般質問 / 圏央道水海道インター周辺開発(2) - 常総ルネサンスへの道

2013年07月07日
早期にマスタープランを策定し土地利用の目的を明確にし開発を確実に進められる計画を示すことができれば、開発許可はおりるはずです。
何をやるのか計画もないのに許可をおろすほど県や国は甘くないのです。

一般質問の復習をしてみます(1) 2015年07月01日 - 常総ルネサンスへの道



放射線に関するツイートのようですが、もっともな発言なので載せてみた。



追記
コメントで取り上げている2億2千8百万円のところの議事録

2015.06.03:常総市平成27年5月定例会議(第6回会議) 本文
169
◯7番(遠藤章江君) ありがとうございました。議員全員協議会で説明いただいたその事業費なんですけども、ずらっといろいろなことが書いてあるんですね。アグリサイエンスバレー構想の土地改良事業は7億2,800万円となっているんです。そこからいろいろな経費がざあっと書いてあるんですね。それには、事業計画作成の現況測量や権利調査等基礎資料作成業務は別途であるとか、こういう記載がある。7億8,000万のほうを見ると、そういうものを加えた額であるというふうに書いてあるんですね。そうすると、7億8,000万円からいろいろな助成されるお金を引いていくとちょうど2億2,800万円なんですよ。だから、この2億2,800万円が恐らく事務とか測量とかに使われるお金なのかなというふうに考えた場合に、戸田建設が2億円出してくれるんですよと言いながらも、ここでなぜかぴったり2億2,800万円お金が浮いてくるんですよね。そうすると、この土地改良事業費の中に実はしっかりと測量費を取っているんじゃないかと私は思うんですけども、これはいかがですか。
◯副市長(塩畑 実君) その辺につきましては、いずれにしましても県との協議にこれから本格的に入ってまいりますので、その辺はよく精査した上で数字を出していきたいというふうに思っています。
173 
◯7番(遠藤章江君) そんなことを聞いていないんですよ。ちょうど計算すると2億2,800万円浮くのが、なぜか戸田が立て替えますと言ってくれている測量費とぴったりと合うわけですよ、金額が。常総市は測量費は5,000万だけで済みますと言いながら、そういう部分でやりくりして、実は戸田建設に立て替えてもらわなくても測量費を払おうとしているんじゃないですかということを聞いているの。その点を答弁してください。
175 
◯副市長(塩畑 実君) その辺については精査させていただきたいと思います。〔「議長、答弁になっていない」と呼ぶ者あり〕


議長(風野芳之君) そうであるか、そうでないかきっちり答弁願います。
 暫時休憩いたします

                午後2時01分休憩
   ─────────────────────────────────
                午後2時04分再開
◯議長(風野芳之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 続いて答弁願います。塩畑副市長。
               〔副市長塩畑 実君登壇〕


◯副市長(塩畑 実君) お答えいたします。
 いずれにしましても、市のほうでは5億円以外は出さないということにしてございますので、その辺についてはそういうことで御理解いただければと思います。


◯議長(風野芳之君) 遠藤章江君。


◯7番(遠藤章江君) ありがとうございました。やはりこういう一つ一つのことで不信感を持つんですよ、議員は。市民もそうですよ、聞いている。2億円の資金は戸田建設がすべて立て替えてくれるから大丈夫ですというような答弁を、先ほど水野議員の一般質問には答弁しました。しかし、こういうふうに計算していくと、なぜか2億円ほどのお金が事務費とかほかの測量事務費とかに使われるというふうに書いてある。そうすると、実際は戸田建設が2億円立て替えてくれなくても、この事業が頓挫した場合、頓挫する確率が高いと私は思っていますけども、頓挫した場合に2億円はだれが払うか。こうしたら常総市がちゃっかり払うことになる、こういうふうになるんじゃないかと思って心配して私は聞いているんですね、これを。
 お金のことはきちんとしましょうと、私はずっとこれを言っているんですよ。

追記

戸田建設、インターチェンジ周辺再開発 農業テーマに  :日本経済新聞

2015/8/13 23:36
同社が出資する農業生産法人が野菜を育てるほか、(略)
 戸田建設常総市や地権者と、新設の圏央道常総IC」周辺の再開発の協定を結んだ。事業費は約100億円の見込みで、2021年度の完成をめざす。(略)
 これとは別にハウス栽培施設を4つ設ける。茨城県農業生産法人戸田建設が出資して農業生産法人を立ち上げ、ハウスでトマトなどの農産物を育てる。食物残さを使ったバイオマス発電所を造る計画も進める