市議会の自主解散を16日に採決する

遠藤ふみえ議員のウェブサイトにかかれていますが、常総市議会の会派 絆(倉持守、小林剛、堀越輝子、金子晃久、各議員)は、自主解散決議案を議長に提出しました。
常総ルネサンスへの道: 速報 / 読売新聞けさの朝刊より


解散でしか解決できないほどの問題が起きているとは思えないので、どんな理由で自主解散を求めたのかが気になりますね。
倉持守議員は「議会の正常化のため」と述べたそうですが、解散しても、同じ議員が再選されて同じ状況になるだけではないですかね。
敵対しそうな新人候補者の選挙準備が整う前に選挙をやって、現職議員に近い新人候補者を当選させようというのなら納得できます。でも、そんな理由で解散されてはたまりません。
全国的にも事例の少ない自主解散をすれば注目されるでしょうが、こんなことで有名になってもねぇ。


もし、議長の議会運営に問題があるというのなら、議長に対して問責決議なり不信任決議(どちらも法的拘束力は無い)をすれば良いだけですし。


ただ、会派 絆の4人は全員、初当選した新人議員ですし、年齢も若めです。
従来の議員には無いような動機や背景があるのかもしれないので、ニュートラルに経過を見て行きたいと思っています。
(どのみち、自分が何かできるわけでも有りませんし)


選挙を行うと2〜3千万円くらいの費用がかかるようですが、半年後(来年の4月)には選挙予定でしたから、大きな差ではないですね。
県議会選挙と市議会選挙を同日に実施すれば経費を削減できるでしょうし、大きな派閥の議員さんにとっては何かと都合がよいでしょう。
でも、そんな理由は無理筋。




以下は、自分用の記録。

自主解散決議案の根拠法となるのは、以下の特例法ですが、第一条をどのように解釈して良いのか分からない。

地方公共団体の議会の解散に関する特例法

(この法律の趣旨)
第一条  この法律は、地方公共団体の議会の解散の請求に関する世論の動向にかんがみ、当該議会が自らすすんでその解散による選挙によつてあらたに当該地方公共団体の住民の意思をきく方途を講ずるため、地方公共団体の議会の解散について、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)の特例を定めるものとする。
第二条 (略)


この「世論の動向にかんがみ、」という部分が、解散の条件として書かれているのか、法律を作成した背景の説明として書いているだけなのか私には判別できません。


検索してみると、昭和40年6月1日(法律の公布・施行の2日前)に行われた参議院会議録が見つかり、そこで質問、答弁が行われていました。
それ読むと「世論の動向」も解散するための条件としています。
しかし、「世論の動向」の具体的な内容については、住民からの解散請求(リコール)を上げているものの、最終的には議会が判定すれば良いということのようです。
つまりリコール運動は無くても、議会が必要だと判断したのなら、この特例法は適用できるのでしょう。(少なくとも違法とは言えない)

参議院会議録情報 第048回国会 地方行政委員会 第30号

衆議院議員(中馬辰猪君) おっしゃるとおりでございまして、あくまでも世論が著しく高まったかどうかということは、当該議会の自主的判断でございまして、当該議会としては、そういう世論の高まりということを軽く見る場合があるでしょうし、あるいはかりにリコールがございましても、これはほんの一部の人のリコールであって決して真の意味の大きな広がりのリコールではないというふうに解釈すれば、当該地方議会がみずから解散することはなかろうと思います。しかし、具体的に何が世論の高まりの前提であるかということは、リコールの請求権以外にないのではないかというふうに考えております。
○小林武治君 ちょっといまの問題、こんないいかげんな文章の抽象論の法律なんかあまり見たことはありませんが、「世論の動向」とは何か、もしあなた方がリコール請求の開始だけだということなら、それだけはっきり書けばいいじゃないか、全くこれじゃだれが判断するんですか、「世論の動向」ということを。
衆議院議員(中馬辰猪君) それは当該地方公共団体の議会が判定することにいたしております。


この特例法が出来た理由は、東京都議会で汚職が頻発し、都民からのリコールが成立しそうになったため、都議会を解散するために、急いで作った法律らしい。
1965年東京都議会議員選挙 - Wikipedia


(追記 2014年10月4日 東京都議会議員さんがブログで東京都議会の解散の経緯を書かれていましたのでリンクしておきます。 都議会議長、突然の辞任!私が棄権票(白票)を投じた理由と、東京都議会の黒歴史 )


特例法の附則に「一年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」とあるのは、東京都議会を念頭に急いで作った法律なので不備もありそうだから、後日、見直すということだったのでしょうが、結局、改正されることなく、そのまま。


定足数、表決数の数え方。特別多数議決の場合は議長も含める。
常総市議会の議員は現在19人なので、4人の議員が反対すれば議案は否決される。

立川市議会議員 大沢ゆたか ◎特別多数議決

過半数議決の議事については,可否同数の場合には,議長の決するところとされ,したがって議長は表決権を有せず,また出席議員数の中に含まれないが,特別多数議決の場合ほ,そもそも可否同数という事態が考えられないので,議長は裁決権を有せず,表決権をもち,したがって,出席の員数の中に含まれるのである。

阿見町議会で、議長不信任案が可決した。9月10日

議長不信任案を可決 : つくばもん

2014/09/11 議長不信任案を可決
阿見町議会は10日、柴原成一議長に対する不信任決議案を、定例会本会議で賛成多数で可決した。
退席した柴原議長と、議長を務めた副議長を除き、8対7の1票差だった。
法的拘束力はなく、柴原議長は茨城新聞の取材に対し、「辞める理由はない」と辞職しない考えを明言した。

議長不信任案を可決 阿見町議会:茨城新聞



茨城県内で自主解散をした事例

ほっとメール@ひたち : 笠間市議会が自主解散

笠間市議会が自主解散 全会一致 在任特例で県内初
茨城新聞(2006/11/18一面)
 「合併在任特例を適用している議会が財政を圧迫している」として、笠間市の市民団体「笠間市をよくする会」(磯部幸克会長)が市議会の解散を請求した問題で議会は定例議会最終日の十七日、自主解散決議案を議員提案し全会一致で可決した。在任特例をめぐる一連の議会解散運動で、自主解散が成立したのは県内で初めて。


茨城県議会も、この特例法により解散したことがある。県議会選挙が統一地方選挙とは別の時期に行われるのは、そのため。

茨城県議会 - Wikipedia

統一地方選プレ選挙

議長選挙をめぐって収賄事件が発覚し、1966年12月21日に地方公共団体の議会の解散に関する特例法に基づく自主解散が行われたことによる。1966年後半に相次いだ一連の黒い霧事件の一つとして「茨城県議会黒い霧事件」ともよばれ、自主解散も「黒い霧解散」とよばれる。

自主解散に伴う選挙の投票日は翌1967年1月8日であったが、1971年以降の改選では選挙は前年12月中に執行されるようになった。これによって、茨城県議会議員選挙は翌年の統一地方選のプレ選挙としての意味合いをもつことになった。また2010年の選挙は国政での政権交代後初の都道県議会議員選挙となるため、前哨戦としての意味合いはより強くなった。

海野隆−県議会選挙にあたって □県議会の黒い霧事件について



追記
市民運動が起きていないと思われるのに、自主解散になった事例。
社会 福岡・中間市議会が生活保護不正受給で自主解散 - ニュースを比較してみるブログ
中間市、市職員の不祥事に議会が解散! | 佐々木まことブログ
議事録(PDF ファイル)。最後の方(16ページ)に記載あります。



追記
同じ議会を見て、茨城新聞は議長の辞職を、読売新聞は自主解散の否決を中心に記事を書いていますね。

【茨城新聞】常総市議会 議長辞任へ

常総市議会の8月定例会議最終日の16日、岡野一男議長が議長の辞職願を提出、本会議で認められた。辞任は29日付。取材に対し、岡野議長は「都合により」と話し、詳しい理由は示さなかった。市議会では同日、議会解散決議案が議員提出されるなど、議…

2014年9月17日 読売新聞

自主解散の提案理由が、「昨今、他議員への中傷や批判発言があとを絶たず、議会運営上の大きな妨げになっている」だとは。
馬鹿じゃねぇの。


賛成した議員
会派 絆 4名
 金子晃久
 堀越輝子
 小林剛
 倉持守
会派 常心会 3名
 吉原光夫
 喜見山明
 篠粼孝之
無所属(1人会派 常総自民) 1名
 坂巻文夫



移転
以下は、9月16日の記事の末尾に書いたものです。こちらに有るのがふさわしいので、移転しました。


常総市議会の自主解散が決議で否決されたら、提案した絆の議員(倉持守、小林剛、堀越輝子、金子晃久、各議員)は、辞職したら良いのではないかと思います。
常総市議会には問題が有ると考えたから自主解散を提案したのですから、そんな組織に属し、報酬も受け取るのでは、ご自分でも気分が悪いでしょう。
(自主解散を否決され、提案した議員が辞職した事例は幾つもあります。もちろん辞職しない例もあります(宮城県名取市議会2011年))


ただ、今、辞職すると、補欠選挙となってしまいます(6分の1を超える欠員)。
そして来年4月には任期満了による選挙も行われることになり、常総市の支出も馬鹿になりません(2〜3000万円位の費用?)
さて、地方自治法によると、補欠選挙が必要になっても、任期満了の前6ヶ月であれば、補欠選挙は行わないでよいそうです。
そこで、絆の4名の議員におかれては、当面は議員活動を一切停止し、任期満了(来年の4月30日)の6ヶ月前になる10月31日を過ぎたら辞表を提出し、議員をお辞めになられるとよいのではないでしょうか。おそらく多くの市民にとって納得できる対応策になるのではないかと思います。
(一ヶ月分の議員の報酬が無駄になりますが、議員は寄付などはできないので、どうしようもないですね)


ただし、欠員が3分の1を超えると、6ヶ月の制限はなく、補欠選挙を行う必要があるそうです。
常総市議会の定数は22人ですから、3分の1は、8人(7.333人)です。
現在の欠員は3人、絆の4人が辞職すると合計7人となり、更に1人でも欠員がでると、補欠選挙になるという、非常に不安定な議会となってしまいます。
もし、更に欠員が出て補欠選挙になるようであれば、自主解散をして(補欠選挙ではなく)普通の市議会選挙として行うのが良いのではないでしょうか。
(あー、もしかしたら、そこまで計画しているのか? そういう形にすれば全ての市議会議員は1人で、いつでも常総市議会を解散する権力を持つことになるから)


なお、自主解散については前の記事でも取り上げています。そこの最後に追記しましたが、福岡県中間市では市民運動などは無かったようなのに自主解散が成立しています。