常総市の市民討議会は、市の施政に活かされているのだろうか

市民討議会の運営マニュアルは、日本青年会議所が作成しています。
http://www.10jaycee.com/2010/selectfuture/modules/pico01/index.php?content_id=14 公開討論会 日本の未来選択 みらせん 708の青年会議所が未来を切り拓く - 市民討議会


それによると、市民討議会とは、ドイツで行われているプラーヌンクスツェレ (独:Planungszelle:計画細胞)という行政への市民参加の手法を、日本向けにアレンジしたもののようです。
プラーヌンクスツェレでの、行政の対応に関する記述をまとめると、

  • 答申を受け取った行政は、答申に対して必ず回答する
  • その行政からの回答をもとに、次のプラーヌンクスツェレを実施する
  • 答申は、公表する

としています。

委託機関(注 行政等のこと)は、「市民答申」を尊重しなければならない。その成果がすぐに現れるものではないが、ある期間のうちに応える必要はある。実現できること、実現できない場合はその理由を示すこと、所轄が異なる場合はその所轄に連絡を取るなど、その答申に対する回答をしっかりと示すことが重要である。かつてはこうした契約内容がなく、そのため何の音沙汰もないまま、参加した市民が失望したケースもあった。

行政が関係する全ての部署に、その提出された「市民答申」を配布し、答申で触れられた所管事項を、現在既に実行していること、計画されていること、実施できない場合はその理由を明示するように支持し、その結果を発表する。そして、更に課題を絞り込み2度目のプラーヌンクスツェレを実施する。こうした行政からのフィードバックが進めば、市民と既成の政治の間の信頼は高まり、観客民主主義の進行は食い止められるかもしれない。
プラーヌンクスツェレの特徴は、この「市民的公共性」と呼ぶべき合意像を浮かび上がらせる点にある。その提案、答申は素朴なものとなるため、専門的知見に沿い検証され、決定され、実現がなされなければならない。それこそ、専門化した行政や議会の出番となるのである。
答申についてはマスコミへの公表やインターネットでの情報開示等を通じ、常に社会に開かれたものである必要がある。


さて、それを日本向けにアレンジした市民討議会では、このあたりをどのように書いているかを、同じマニュアルから探しましたが、以下のような文章しか見当たりませんでした。

提言書・報告書の提出】
【行政への事後フォロー】
提出された討議内容が行政に反映されているか見守る
(可能であれば常設の事務局等を設けてフォローするこ
とが望ましい。)

以後、可能であれば、報告書を受けた行政の対応を確認する委員会組織の設置が望まれる。

市・マスコミへの市民提言について
市民提言として報告書を市長へ手渡すと共に、多くの新聞やテレビ等で発表することが重要であり、これは、市民提言を行うという事だけではなく、後に、この提言に対して行政がどのように取り組んだのか、また、実行できないものは、何故できないのか、代わりに何を行っているのか・・・
等々の市民の声に対する行政の対応を、広く市民へ届ける基となり、非常に重要な事項である。


どうやら、市民討議会では、答申を受け取った行政が施策に活かしたかどうかは、あまり重要視していないようです。
とはいえ、広報常総では市は「答申を施策に反映していきます」としているのですから、なんらかの施策につなげているのでしょう。
しかし、常総市の市民討議会のウェブページには何も情報はありません。


また、 市民討議会と常総元気塾の関係については次のような記述があります。

常総市の「市民コミュニティ支援事業における随意契約理由書」
(2008年の市民)討議会で提案された課題について継続的に取り組むことの出来る組織の必要性から,平成20年12月に常総元気塾が設立された

2009年市民討議会報告書
(2008年)は、(社)水海道青年会議所常総市において初めてパートナーシップ協定を締結し第1回の市民討議会が開催され、それを受けて「協働」をさらに推進すべく「常総元気塾」が立ち上がりました。

常総元気塾は、市民討議会による提案を実現するための活動を期待されていたようですが、どんなことをやっていたのでしょうか。それも公表していただければと思います。
(なお、行政情報を市民と共有することは市長の基本目標です http://d.hatena.ne.jp/hyakubann/20110110#p5 ひつじの日記 公約など)


市民討議会は、前市長の時代に始まったようですが、現市長の基本目標(公約)である「市民協働のまちづくり」に該当するでしょう。
公約に基づいて、市民協働課を新設し、市民討議会を開催したのですから、情報公開についても公約を果たしていただきたいと思います。