削除要請への返答文例(3)違法性阻却事由

申立書には、「事実と異なり」、「名誉を侵害しているものでありますから・・・削除するよう」と書かれています。
しかし、名誉を侵害する行為でも正当化される場合があると返答しました。
(個別の事実関係については、この後に書いています)

申立者は、「当該記事は事実と異なり、同氏の行為が違法であるかのような記載となっており、同氏の名誉を侵害するもの」と主張しているが、申立の内容は主張の根拠として充分ではない。
以下に「名誉毀損に抵触するか」「○○○○氏の行為は違法行為に該当するか」に分けて記載する。

名誉毀損および情報削除ガイドラインに抵触するか

民法・刑法の名誉毀損および はてなの情報削除ガイドラインでは、違法性阻却事由として、事実の公共性、目的の公益性、真実性・真実相当性を挙げている。
当該ブログ記事と照らし合わせる。


(事実の公共性)
○○○○氏は(略)落選したが、政治からの引退は当方の知る限り表明していない。さらに当該記事の内容は議員という身分の際の行為についてのものであるから、公共性がある。


(目的の公益性)
当該記事で指摘した行為は全て公職選挙法に基づき指摘している。選挙は一般人にとって最も重要な政治参加であり、違法、不当な行為や、疑わせる行為が有ったならば、それを広く知らせることは公職選挙法の目的である民主政治の健全な発達を期することに合致する。


(真実性・真実相当性)
当該記事の記載は、全て私自身が自分の目で確認した事項をもとに、法律や、常総市をはじめとする各地の選管のウェブサイトなどを読んだ上で書いたものである。
申立者は事実は異なると主張するが、以下に記述するように申立者の主張を加味しても、事実関係は変わらず、真実性はある。


以上により違法性阻却事由に該当するので、申立者の主張には根拠はなく、削除を求める理由にはならない。

(真実性に関しては、看板を設置したこと、祭りに寄付したこと、後援会へ支出したことについて、削除の申立書でも否定せず、大前提として認めています)



参考

はてな情報削除ガイドライン
名誉毀損・侮辱(個人)

名誉とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な社会的評価のことである。、この社会的評価を低下させる行為は名誉毀損として民事及び刑事の責任が発生する場合がある。また、事実を摘示しないで、公然と人を侮辱することについても同様である。
(略)
誹謗・中傷等特定人の社会的評価を低下させる情報が掲載された場合は、当該情報を削除する場合があるが、以下の3つの要件を満たす可能性がある場合には原則として削除を行わない

  1. 当該情報が公共の利害に関する事実であること(特定の犯罪行為や携わる社会生活上の地位に基づく行為と関連した情報等)。
  2. 当該情報が、公益を図る目的で掲載されたものであること。
  3. 当該情報が真実であるか、または発信者が真実と信じるに足りる相当の理由があること。

刑法
名誉毀損
第二百三十条  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2  死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。


(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二  前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2  前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3  前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

名誉毀損罪の公共の利害に関する場合の特例の規定は民事の名誉毀損にも準用される?