前の記事の続き(指定廃棄物の最終処分場)

一つ前の記事で、茨城県で開かれた指定廃棄物に関する新聞記事等をまとめました。(その後の、幾つかの報道を追記しています)
ここでは、その報道から感じたことを書いておきます。


「分散保管は台風や竜巻で拡散するおそれがあるから頑強な建物で1箇所で保管せよ」というような意見が出たそうです。
でも、指定廃棄物に含まれる放射性物質なんて、足元の地べたにある放射線量にくらべれば、わずかです。
これについては以前にも書きましたが、茨城県内の全ての指定廃棄物に含まれる放射線量は常総市(水海道)の1.7キロ四方の地面にある放射線量と同等です。
(2年前の計算です。そして、これを常総市に関係の深い守谷市に保管している指定廃棄物(県全体の約2割)に単純にあてはめると800メートル四方くらいになります)
ピンポイント爆撃されるのならともかく、足元の放射性物質のほうがドラム缶等に入っていないので遥かに危険でしょう。地面に有る放射性物質のことを、すっかり忘れているように思えます。
また保管している焼却場や下水処理施設が破損するような事態になったら、そのほうが市民生活に与える影響は大きくなるでしょう。
ちゃんと考えているとは言いがたいですよ。
放射線に強く反応している人というのは、優先順位や量の判断がおかしくなっているような気がしますね。
2013-04-01 指定廃棄物の最終処分場の放射線濃度はどのくらいか。



お金の話をします。
守谷市に保管されている指定廃棄物(611トン)のうち100トン程度は常総市からのもので、県全体の3%程度と計算できるようです。
また、指定廃棄物の処分に関連して、国は50億円を茨城県 5県で50億円を振興費として用意しています。
これを単純計算をすると1億5千万円に相当します。
守谷市のゴミ焼却場に保管している指定廃棄物を常総市(水海道地区)に引き取れば、そのお金で 振興費で甲状腺の調査でも、除染でも、農産物の広報でも、やりたいことはほとんどできるんじゃないでしょうかね。
しかも、放射線量は事故後11年(今から7年後)に全て8000Bq/kg 以下になりますから、放射性の廃棄物として保管する必要はなくなるようです。(理屈では一般のゴミと同様に最終処分場に搬入できる)
常総市で引き取らないのであれば、振興費の使い道についても口出しはできません。
このままだと、その振興費は守谷市で使うことになるのでしょう。誰かを批判するための材料にするひとが出てきそうな気がします。
処分地の候補とされた自治体では反対運動が行われていますが、受け入れた上で振興費を健康管理や学校教育などの向上に使ったほうが、総合的にはメリットが多いんじゃないでしょうかね。今後、どこかの自治体で振興費とともに受け入れたら、他の自治体は「県全体で使え」とか言い出しそうな。
まぁ、私はお金がもらえるのなら家の裏に是非とも処分場をつくってもらいたいくらいなので、普通の人とは感じ方が違うのかもしれませんが。



追記 2015年2月
石炭灰の埋め立て計画。
石炭灰はウラン(半減期 44.8億年)とトリウム(半減期 141億年)の合計で、41〜372Bq/kg 程度になるようです。
指定廃棄物の8000Bq/kg という基準に比べれば十分に低いですが、1000万立法メートルだそうですから放射性物質の総量は比較にならないくらい膨大でしょう。
半減期も長いので、長期間にわたって放射線を放出し続けるわけですし。

9月議会案件で発注/常陸那珂港東電灰処分場/茨城県 | 建設通信新聞

同処分場は、東京電力常陸那珂火力発電所から排出する石炭灰などを約20年間埋め立てるため、同社の全額負担のもと県が整備する。
 事業区域は、同地区(ひたちなか市長砂、東海村照沼)のうち、現処分場東側に位置する公有水面約56ha。中央の約52haを埋立容量約1000万m3の処分場に充て、その周囲約4haに護岸や余水処理設備などを整備する。

ポストさんてん日記 火力発電の石炭の放射能

石炭灰の放射能 今回のエントリーの結論です。
出典:石炭火力発電所の石炭に関する放射線規制免除についてから電力中央研究所:実測からの換算値
 ウランU-238で 27〜191 Bq/kg程度、
 トリウムTh-232で 14〜181 Bq/kg程度
 また、出典の12ページには、欧州の石炭灰が1万Bq/kgとの記載もあります。

石炭灰 ‐ 通信用語の基礎知識

石炭火力発電は燃やして大気中に放出する。含まれている量が微量としても、何百万トンもの鉱物を燃やして大気中に放出すれば相当の量になることは自明であり、その危険性は原電の比ではない。
石炭灰近傍の空間放射線量は、次の通りとされる。

現地調査結果(第15回基本部会資料)
クリンカ近傍: 0.130ミリシーベルト/年
フライアッシュ近傍: 0.120ミリシーベルト/年
J-Power石炭火力発電所(7事業所)調査結果
クリンカ近傍: 0.000〜0.034ミリシーベルト/年
フライアッシュ近傍: 0.000〜0.196ミリシーベルト/年