市長による事業費の説明は、デリバティブと同じやり方では

長谷川のり子市長(および後援会)は、配布しているチラシで毎回のように、にぎわい再生事業のことを記載しています。


出典 だいすきこのまち 第27号 発行者 長谷川のり子
   長谷川のり子後援会事務所 後援会討議資料 継続・前進-強い実行力で確実に市政を進めます!
   長谷川のり子後援会事務所 後援会討議資料 にぎわい再生事業について市民の皆様にご説明いたします



これらの説明を読んだ多くのひとは、5億8千万円のにぎわい再生事業に対する常総市の支出は1300万円で済むかのように感じているのではないでしょうか。
でも、それって、うますぎる話に思えませんか。


合併特例例については、当ブログで取り上げたことがあります。(合併特例債の勉強(中心市街地にぎわい再生事業))
そこに上げた図を再掲します。


1300万円というのは、この図の上の棒グラフの右端にある「一般財源5%」の部分のことであって、常総市の本年度(平成24年度まで?)の支出の金額でしかありません。
合併特例債(2億4千万円)の3割にあたる、7200万円は、今後、常総市が返済する必要があります。


それを全く書かないということは、あまりにも不誠実な説明ではないでしょうか。
それとも、7200万円分の支出をする際には、もう自分は責任者ではないから書く必要はないとでも判断したのでしょうか。


さらに、合併特例債の残りの7割部分について、本当に国が負担してくれるのだろうかと、疑問を持っている自治体や、地方議員は少なくないようです。(上記した当ブログの合併特例債の記事をご参照ください)
7200万円というのは最低限の金額だと認識したほうが良さそうです。(国から得られるお金は、会計上、他の項目と一緒になってしまうため、本当に国が7割を負担したのかどうかはわからないようになっています)


そもそも、5億8千万円の事業費というのは、自然発生するわけではなく、元々は、すべて国民の税金です。
まるで1300万円の常総市の支出で、5億8千万円の事業を行うことができたかのような表現は、昨今の金融危機の元となった、レバレッジ(テコ)を効かせたデリバティブ金融派生商品)の説明のようです。
似たような説明を民間企業が行ったら、「よくわからんが、とりあえず怪しそうだな。関わるのは止めておこう」と感じるのが、まともな常識人の判断でしょう。
(いままで何も感じなていかった方には、表現がきつくて申し訳ない)



また、ここまで書いたのは、建設にかかるお金だけです。
建物などを作れば維持費も必要になります。


チラシにも載っていますか、この事業に関連して「にぎわい交流施設等管理運営検討委員会」という会議が開かれています。http://www.city.joso.lg.jp/joso/www/03130.html

ウェブサイトには施設の資料は全く公開されていないので、運営の内容はわからないのですが、議事録を読むと、数年間は市の職員が、その後は指定管理者制度を用いて管理していくようです。
また、夜の9時とか10時ごろまで、管理人が常駐するようですし、施設の趣旨を考えれば、休みもないでしょう。


となると、常駐する人と、管理する市の職員の人件費を合わせれば、年間1000〜2000万円程度はかかってくるのではないでしょうか。(かなり適当な推計です)
さらに設備自体の光熱費や補修費、イベント経費として年間1000万円程度は必要でしょう(これもかなり適当)


維持費を年間2000万円と見込んだら、10年で2億円にもなります。
この支出には国等の補助金が当てられることはないでしょうから、全て常総市の支出です。


建設費である、平成24年度までの市の支出1300万円、合併特例債の市の負担分7200万円と、維持費として10年間の2億円を合計すると、常総市の支出は、3億円弱になる事業ということです。

市街地の活性化のために3億円を使うのなら、もっと、別のアイディアがあったのではないでしょうか。


(この記事は、2012年7月1日 08時15分にアップしました)



追記
ペイ・アズ・ユー・ゴー原則

http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51683280.html 金融日記:ペイ・アズ・ユー・ゴー原則 ―そもそも適正な税収と歳出の規模はどうやって決めるのか?
恒久的にお金のかかる政策をはじめるときに、(略)必ずその財源を見つけなければいけないという財政ルールをペイ・アズ・ユー・ゴー(pay-as-you-go)原則といいます。

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