伊奈庁舎の浸水高は1メートル未満となっているけど

市民オンブズマンつくばみらい改め 劣化と失調さんがつくばみらい市の新しい庁舎(伊奈庁舎)について書かれています。水害にそなえて非常用電源を1メートル高いところに設置したとのことです。


確かにハザードマップを見ると市役所の場所の浸水深は0.5〜1.0m未満(青みがかった黄色)となっています。
ただし、隣接して1.0〜2.0mの土地(薄い水色)も広がっています。
東京新聞の記事でも単純に1メートルと書いてあるですが、これでは「庁舎の付近は、せいぜい1メートル」と思ってしまう人があらわれて、危険なのではないかな。
地元の人なら周辺の土地の状況も知っているので、周辺には土地の低い場所もあると分かるでしょうが、防災の話は読み手にも慎重さが必要かなと思い、ちょっと書いてみました。
つくばみらい市 洪水・地震・土砂災害ハザードマップ


ちなみに、上のハザードマップをみると、浸水する場所に避難所を設定しているんですが、大丈夫なんですかね? 常総市の経験では、大丈夫ではないんですが。
あくまでも周辺住民が一時的に避難する場所であって、河川の決壊時には閉鎖して移動すると想定しているのでしょうが、何らかの注意書きは必要だと思います。





ところで、鬼怒川と小貝川が同時に決壊したときの浸水深は、両方の予測値を合計した深さになるという意味の記述を見かけたのですが、本当なんですかね。
コップの水を2杯こぼしても水の厚さ(深さ)は2倍にはならないし、バケツの水をお皿に注いでもお皿の深さ以上の水は貯まりません。


両方の河川が決壊すると、常総インターチェンジ周辺(アグリサイエンスバレー計画地)では浸水深は 10mを超えるということなのですが、いばらきデジタルまっぷで 1/2500 の地形図にすると表示される詳細な標高をざっと見てみると、常総インターチェンジ周辺の標高は 12.1〜13.1m、近くの小貝川の堤防は低い所(横断する道路部分と思われる)で 18.8m、鬼怒川の堤防は 19.4m のようです。
え? 10m 足したら洪水時の水面は、堤防(川の水面)より 2〜3m 高くなってしまう。ありえないから。


同時に決壊した時の状況はハザードマップを重ねて見てほしいというのは、浸水する地域の広がりのことを言っただけじゃないのかなぁ。
いばらきデジタルマップでは、まさにハザードマップを重ねてみることができますが、浸水深を足し合わせるようなことはしていません。
(知りたい地点クリックして少し待つと、それぞれの浸水深が表示されます。また左の柱のところを下げていくと常総市の鬼怒川、小貝川の決壊時の表示の有無を選択できるようになるので個別に見ることができます)


1〜2メートル程度の浸水(床上1メートル以下の浸水)でも被害の程度は全壊とさほど変わらないというのが常総市の教訓なのですから、数字を盛る必要は全く無いでしょうに。
東電原発事故のときにも変な計算をして数字を盛りまくっていた人が居たけれど、主張の信頼性を全体的に損ねるだけだと思うんですよねぇ。



(なお、いばらきデジタルマップの常総市のデータには欠落があり、鬼怒川決壊時に想定される八間堀川周辺の浸水想定2.0m〜5.0m(紫色) が表示されません。あまりにも巨大なミスなのでかえって見過ごされてしまったんでしょうか。今まで放置されていたのであれば誰も見ていないということで困る人も居ないのでしょうが、かなり不自然な画像になるので、中の人が読んでいたら治しておいてちょ。
ついでですが、アグリサイエンスバレーの計画地はこの欠落している部分に含まれます。嵩上げすると他の浸水深が深くなるという話があるようですが、影響は多く見積もっても5センチ以下です。予想していたよりは大きな数字でしたが、これで反対してしまっては全ての開発ができなくなってしまうのではないかな。圏央道そのものの影響は、はるかに大きいですし)
(浸水範囲 40km2、浸水深さ3m、計画地62haをすべて3m嵩上げするとして計算)