市議会の議事録が公開されました(災害時の残業代の話)

遠藤ふみえ議員の発言がマスコミに取り上げられた11月定例会議の議事録が公開されしまた。
残業代の話は遠藤章江議員の発言番号26の末尾から40番までになります。
常総市議会会議録
ざっと見たところ、幾つかのサイトでの書き起こしと同じ内容でした。(当たり前ですが)


再度、読んでみても遠藤議員は、「災害時の残業代は、特別な手当制度にするよう検討してはどうか」と要約できる質問をしていますね。と質問していますね
また執行部(雇用者側)も、明確には否定しませんでした


この国では、「みなし残業代」とか「名ばかり店長」とか言われるような、わずかばかりの手当とひきかえに、深夜にわたる残業や休日出勤をしいられている労働者が少なくありません。
そういう問題があるのですから、議員の発言に敏感に反応する人がいるのは当たり前だと思います。
毎日新聞の記者さんが、そのように考えたのかどうかは分かりませんし、そうだとしても殆どの読者に上手く伝わらなかったので新聞の文章としてはダメダメでした。
でも、だからといって議員の発言は正当化できるものではありません。


職員のことを考えての質問だとしても、ブラック企業の経営者だって聞かれれば「少し過大な仕事を経験させることで成長を期待しているんです」みたいな、もっともらしいことを、いけしゃーしゃーと言いますよ。


議員や、議員を擁護されている方々は、今の日本の労働環境について、どういう認識を持たれているのでしょうねぇ。ブラック企業とかが無くならない理由の一端のような気がする。
(まぁ、議員の実家は店舗経営のようですし、ご自身も法人の理事を努めておられるそうなので、致し方ないのかもしれませんが)


当ブログのこの件に関する過去記事はこちらです。
ラジオでも少しだけ取り上げられましたね。 職員の残業代 (映像を見た感想など追記)


追記
問題となった質問文を下記に引用しました。(発言番号34から36の全文です)
これを普通に読めば、災害時の残業代は特別手当制度にして減額することで市民の感情や社会保険料の問題を解消してはどうかと言っているとしか理解できないのではないでしょうか?
「減額」という言葉は使っていませんが、ほかの方法は普通の人には思いつけないでしょう。
議員のブログを読むと、残業代の支給時期を年度末などにずらすことで問題を解決したいとお考えだったようですが、エスパー能力でもなければ、そんなことが分かる訳が有りません。(労働基準法からも残業代の遅配は無理だと思います)
違うというのであれば、ぜひとも、どなたか解説をお願いします。
一般質問の全体を読めばと言われても、残業代などに関する質問は、発言番号26の末尾の「続いて、2番目の質問をいたします」として始まり、発言番号40番で「今後の検討課題にしていただければ幸いだと思います」として終わっていますから、この範囲の発言から議員の意図を理解するしかないと思うのですが。
特に下記の引用部分では「あともう一点は」と言っているので、職員の健康管理とは別の話として残業代の話をしているわけですし。

常総市議会議事録 2015.12.04:常総市平成27年11月定例会議(第24回会議)
議会録画では22分20秒あたりから
発言番号34
◯7番(遠藤章江君) ありがとうございました。今、ほうっとため息こぼれましたけども、実際100万円以上超える職員は結構、どの自治体の災害のときにも何人もいるんですね。阪神・淡路大震災のときだったと思うんですけど、1,600万円ぐらいの給与を支給する職員が出たという話もちょっと聞いています。
 ですから、決して珍しいことではないんですけども、ただ私、心配しているのは……〔発言する者あり〕
発言番号35
◯議長(風野芳之君) 静粛にお願いします。
発言番号36
◯7番(遠藤章江君) 職員の健康管理をしっかりしていただかなきゃならないということ、あともう1点は、これは社会保険料の問題なんですね。今回、災害が9月、10月と起こっていたからいいんですけども、もしこれが4月、5月、6月に起こっていたとするとどうなるか。そうすると、社会保険料というのはその4月、5月、6月の平均給与で決まってくるわけですよ。そうすると、ここの時点でたくさん残業してしまって、給料が通常の2倍も3倍もなってくると、その方が払わなきゃならない社会保険料が、3カ月の平均になってくるとものすごい額になるんですよ。そうすると、1年間、職員の方の生活を圧迫してくるようなことになる。ですから、逆に言うと、災害時で残業代を多くもらったというのが今の時期でよかったなというふうに思うんですね。4月、5月、6月であれば、1年間、本当に社会保険料、普通の基本給が低いのに何万も払わなきゃならなくなると、こういうことが起きます。
 ですから、私は、今給与がすごくふえてしまった職員もいるということでため息出ました。それも受けとめなくてはならない。ですから、逆に、どうでしょう。選挙のときに行うような特別手当制にして、やっぱり災害時の特別な給与体系、これを今後早急に検討していく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけども、これについて今後どのように見直していくのか、お考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。

ちなみに、この質問に対する答弁は市長を予定していたが、時間がかかりそうなので総務部長に答弁してもらったと議員はブログで書かれています。
でも、録画をみると、議員は総務部長を指名はしておらず、その場で答弁者を変えたわけではないように見えます。
議会の仕組みは知りませんが、市長に答弁をもらうときは「市長に答弁を求めます」と明示しなければいけないルールになっているんでしょうか。

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それと、この件について遠藤議員はブログで書かれているのですが、社会保険料のくだりには、びっくりしました。

いいわけ(3) - 常総ルネサンスへの道
社会保険労務士である高杉市長に答弁してもらうことになっておりました。
市長が答弁してくれれば、実際には、災害時の給与が高額になった場合の抜け道(適切な言い回しでなかったら失礼します)についても言及して頂けることになっていました。


あの質問については、「災害時の残業代で社会保険料が高額になるもののか?」という点も指摘されていたのですが、(高額にならないことを)議員は知っていたうえで質問していたわけです。
私は、議員はアドリブで質問しているのだから多少の間違いはしかたがないと思っていたのですが,、間違った話だと知りながら質問していたわけです。
早い話が、嘘を根拠に質問していたということです。


毎日新聞に送った抗議文(内容証明)でも、残業代によって社会保険料が高額になると書かれていますが、そうはならないと知っていて質問した上に、抗議文も書いているわけですよねぇ。キャラクター設定を途中で変えたらストーリーが崩壊しちゃったんだろうか。

12月10日 抗議文を送付しました - 常総ルネサンスへの道
しかし、実際には、当職は、長時間残業を行うこととなった職員らの健康管理が大切であることに言及し、その上で、災害の時期によっては残業代が増大する結果、市職員の社会保険料が著しく高額になり、市職員の負担が極めて重いものになることが想定されるために、災害時の特別給与体系創設を求めたものです。


質問の時間が無くなりそうだったので市長ではなく総務部長に質問したと書かれていますが、こんなことまで想像しながら質問を聞いていなきゃいけないんでしょうか。
善き常総市民でいるためには、エスパー能力が必要なの?
あの質問によって、社会保険料の制度について誤解した人も居たのでしょう。
せっかくブログを持っているのだから、社会保険料についての発言は間違っていると書いておけばよかったんですよ。
このあたりの事実関係に関する感覚というのが、私には理解し難いんですよねぇ。
全体の主張が正しい(と自分が思う)のなら、細かい点は、どうでもいいという価値観なんでしょうか。
本当にそうなのであれば、全ての発言をマユツバで聞かなきゃいけなくなっちゃいますよ。(私は以前から、そうしていますが)



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同じブログ記事の中で、議員の考えておられた特別手当制度についても言及されていますが、これにも驚きましたし、ひどい内容だと思う

いいわけ(3) - 常総ルネサンスへの道
一般職員も、まずは9月分は管理職と同じく定額の残業代を支払っておいて、残りの残金は
(1)年末調整で残業代分を調整することはできなかったか?
(2)12月に賞与に含めて支給できなかったか?
(3)災害から復旧の目鼻がたつ年度末の特別賞与として支給できなかったか?

要するに、災害の直後に残業代を職員に支払うと住民の不満が高まるから、住民感情が落ち着いた年末や年度末に(こっそり)支払ってはどうかというのが議員の考えておられたということだったようです。
それって、あまりにも姑息(※)じゃないですか。
残業代を受け取ったうえで、住民の不満や批判が起きたなら、職員は誠実に受けとめるのが正道じゃないでしょうか。
(経済的な話をすれば、合計1億4,400万円ものお金が災害直後に支払われたのですから、市内で使われていれば即効性のある景気の下支えになったはずです。被災者は商売どころではなかったので直接の被災者支援にはつながりませんが、そこまで職員個人に求めるのは筋違いでしょう)

こそく【姑息】の意味 - 国語辞書 - goo辞書より抜粋
一時の間に合わせにすること。また、そのさま。一時のがれ。その場しのぎ。「―な手段をとる」
[補説]近年、「その場だけの間に合わせ」であることから、「ひきょうなさま、正々堂々と取り組まないさま」の意で用いられることがある。


私は、特別手当制度の導入で社会保険料の問題が解決できるのであれば、なるべく早く議員の考えた手当制度を明らかして、他の多くの自治体への導入を呼びかければ良いだろうに、なんでそうしないのかと思っていたのですが、こんな内容だったとは。


議員は毎日新聞の記事について「質問の内容を正確に伝えていない」「趣旨をねじ曲げるもの」と指摘されていますが、なんのことはない、議員ご自身が御自分の真意や意図にそわない発言をしていたというのが、全ての発端だったんじゃないですか。
だつりょくかん。。。。。。


(追記 私は、議員がどんな関連性を考えて市民の声を多く取り上げているのか理解できなかったのですが、議員のブログ記事でやっとわかりました。多額の残業代に納得できない批判する市民が多いから残業代の支給は年度末などしたらどうかと言いたかったのですね。そこまで明らかにしておけば、市民の声と議員の考えは必ずしも一致したものではないということを理解してもらえたでしょうし、さほど批判を受けずにすんだのではないでしょうか)

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謝罪や訂正に関するブログ記事もひどいものだ。

いいわけ(4) - 常総ルネサンスへの道
「発言を訂正して謝罪しろ」との多くのコメントが寄せられましたが私は、残業代に係る一般質問を訂正するつもりはありませんでした。
その理由をお話します。
結論から言いますと、コメントを寄せて頂きました皆さまが思っているほど簡単には、一般質問の発言を訂正することはできません。


議会での発言を訂正することが簡単ではないことは当然でしょう。
だからといって、議会以外の場での謝罪や訂正(発言の補足説明)が禁止されているわけじゃないでしょう?
あのブログ記事には、「議員自身は謝罪や訂正が必要だと考えているのか」という、一番大切な点が、すっぽり抜け落ちています。


選挙の審判を受けると自分から言うのも、まるで不祥事を起こした自民党議員が選挙後に「みそぎは済んだから」とかいって、涼しい顔で政界に復活してくのと同じ感覚じゃないですかね。
この件については、謝罪や訂正をしないで終わらせる心づもりなんでしょう。一般質問で嘘ついたのに。
(追記 議員は「訂正するつもりはありませんでした」と過去形で書いていますね。もしかすると今は違う気持ちだという意図を込めたのかもしれませんが、そこまで考慮しきれません)



今回の一般質問は、下記の大学ジャーナリストという肩書の方が言われているように、全体としては多くの人に見てもらう価値のある内容だったのだろうと思います。
ただ残業代に関する質問のところだけが、嘘と説明不足で、ハチャメチャな内容になってしまったのですから、その点の間違いを認めてしまえば、本当に素晴らしい質問になったのではないかと思うんですよね。
なんで、あんなに頑張っちゃって我ん張っちゃっているのか、わからないんですよねぇ。

ブラック労働コメントの遠藤市議、実は質問自体が違う件(石渡嶺司) - 個人 - Yahoo!ニュース
このことがTwitterなどで出ると、今度は毎日新聞を非難する論調が出てきました。
それもそれでどうか、と思います。
ま、遠藤市議が毎日新聞に抗議をする、これはわかります。
しかし、記事の主旨は残業代ですし、まるっきり大外れ、というわけでもありません。(略)
なお、遠藤市議の一般質問は、ハザードマップの不備を指摘するなど、なかなか鋭いものがあります。
公務員志望の学生は全部見ることをお勧めします