石岡市の都市計画税は、常総市と同じ状態

12月3日の常総市議会の一般質問で、遠藤章江議員が都市計画税について質問されています。
平成26年11月定例会議 平成26年12月3日(水曜日)  本会議 一般質問

市長の答弁によると、平成27年度中に条令を制定し平成28年4月1日から施行したいそうです。それに対し議員は、1年半という期間では時間が全く足りないのではないかと述べています。
また執行部の答弁によると、非公式な勉強会で出ている案(正式なものではない)は、以下の4つだそうです。
案1 都市計画地域を見直し、石下に市街化区域を新設し、課税をする
案2 都市計画税の対象地域を変える(下水の受益者の地域に課税するなど)
案3 都市計画税を廃止し、代替の財源を固定資産税の増税などで作る
案4 都市計画税を全廃する。(代替財源なし)


なお、現在の常総市都市計画税が違法かどうかを、顧問弁護士に問い合わせ中とのことです。


さて、執行部の答弁の中で、「茨城県内で、市街化地域の有る自治体と無い自治体が合併したのは、常総市の他には石岡市稲敷市を把握している」という主旨の発言がありました。
そこで、それらの自治体で都市計画税をどうしているのか、検索してみました。


稲敷市は、江戸崎町新利根町桜川村、東町を合併しましたが、いずれの自治体も都市計画税を課税しておらず、現在でも課税していないようで参考になるような情報はありませんでした。
(追記 他に鹿嶋市も同様な合併(鹿島町と大野村。1995年)ですが、都市計画税は課税していません)


石岡市は、石岡市と八郷町の2005年の対等合併です。
石岡市では市街化区域に都市計画税を課税、旧八郷町には市街化区域の区域区分は無く、都市計画税は無かった。
現在も 0.3% の都市計画税を課税していますが、旧八郷町には市街化区域は無いので、旧石岡市だけに課税しています。まさに、常総市の合併と同じ条件です。

http://www.toshi.or.jp/app-def/wp/wp-content/uploads/2013/09/ishioka051214.pdf
都市計画図と用途地域 | 石岡市公式ホームページ


石岡市議会の議事録を「都市計画税」で検索してみると、いくつかの発言がありました。
読んでみると、市の全体の都市計画をどうするかという観点から、旧八郷町に市街化区域の新設を検討し、その結果、都市計画税の不平等も解消されるという方針のようです。都市計画税の不平等の解消は目的にしていないようです(少なくとも表向きは)。
常総市のように不公平や違法状態だから都市計画税を変更するというよりも、石岡市のように都市計画の全体を見直すというほうが前向きですし、まっとうな理由ですね。
なお、常総市都市計画税が違法状態であるなら、石岡市も違法状態のはずですが、議事録を読む限り問題にはしていないようです。


石岡市議会(予算特別委員会) 議事録

平成24年予算特別委員会(第6日目) 本文
286
◯委員(菱沼和幸君) ご答弁ありがとうございました。そういう中で、私は、平成17年10月1日から合併以来もう7年が経過していると思います。そういう中で、石岡市は今までの既存の都市計画税を払ってきたわけでございます。八郷地域にはそれがないという状況においては、先ほども申したとおり、均衡をやっぱり、石岡市は一体であるということが私も大事だと思います。今までのこの八郷地域においては、今までなかったということにおいて、いろいろ議論も多々あろうかと思います。部長は、ちょっと時間がかかるということで答弁をいただいてあります。そういう中で、市長の都市計画税の考えということでお伺いしたいと存じます。

平成26年予算特別委員会(第6日目) 本文
310
◯委員(菱沼和幸君) 今後、将来も検討されてもらいたいと思いますので、それは湖北水道企業団で、またやりたいと思います。
 次に167ページ、ちょっと戻って申しわけないんですが、都市計画一般経費の中の区域指定見直し調査委託料170万円について、これも都市建設部の所管のときに質問させていただきました。その中で、今回、区域見直しということで、旧石岡、旧八郷という状況の中で、均衡とれた都市計画の見直しをしていくんだという答弁がありました。私は以前にもお話ししていたとおり、都市計画税という部分において、旧石岡地域には都市計画税があるわけでございますが、旧八郷地域には都市計画税がないという状況の中で、今回、見直しをして都市計画税をかけようと思っているのか、お尋ねしたいと存じます。

312
◯都市建設部長(沼田 耕君) 区域指定の見直しでございますけれども、こちらにつきましては八郷都市計画区域の状況がございます。八郷都市計画につきましては、平成21年度に策定しましたマスタープランで位置付けがされてございます。石岡の都市計画プランと八郷の都市計画プラン、今、2つの地区に分かれているわけでございますけれども、先ほど委員おっしゃるとおり、両地区の均衡を図るという現段階でございます。そういう段階の中で、石岡地域の市街化調整区域の中の集落について、もう少し集落の中で家が建てられるような見直しが図れないかというようなことで、見直しを図っていこうという予算の計上でございます。
 先ほど言いました都市計画税の観点から見直しを図るというものではございません。都市計画の計画自体が、都市計画税をかけるために見直しするというスタンスではないということをご承知願いたいと思います。

追記 2014年12月19日
コメント欄で紹介していただいた、石岡市の都市計画に関する文書です。
このページの「会議資料【資料1】」です。
平成18年度都市計画審議会の内容



(下部は略しています)


そこに出てくる国の都市計画運用指針はこちらにありましたが、文言が微妙に変わっています。
平成18年度のころは、「そのまま存続させることも考えられる」だったようですが、今は「当面の間」という言葉が入っています。
つまり、複数の都市計画区域を、そのままにしていては駄目だと言っています。
都市計画:都市計画運用指針 - 国土交通省


常総市でも将来的に都市計画区域区域区分の見直しをしなくてはならないのであれば、今、都市計画税の不公平だけを理由にして何かの変更をしてしまうと、今後の都市計画の変更の障害になってしまうような気もします。
しかし、そんなことまで考えだすと、どうするべきか見当もつきません。
今まで、先送りしてきたのも、やむを得なかったのかも。
都市計画税に手を付けるとした以上、執行部、議会、市民が、ある程度の合意と理解を持てるような交渉や情報公開をしてくれれば、結果の時期にとらわれる必要はないのかなと思います。