それは、集団自殺ではなく。 (原発の再稼動のはなし)

(この記事は、以前からマスコミやネットを見ていて思っていたことを、いよいよ黙っていられなくなって書き散らしたものです。文章はまとまっていませんし、原発放射能に対する考えが筆者と異なる方にとっては不快な内容でしょうから、お読みにならないことを推奨します。もちろん、ご意見はありがたく頂戴いたします)


原発の再稼動について、ようやく具体的な動きが出てきました。あまりにも遅すぎたとはいえ、よろこばしいことです


再稼動しないのなら、企業は電力不足のために夏場の業務を減らすしかありません。たとえ停電は起こらないと考えたとしても、万が一の損失を避け、国や電力会社からの節電の要請に応えるためには、そうするしかありません。
また、大手の会社なら電力不足の地域の工場を休止したり、部品を発注するメーカーを他の会社や海外に変更することでしょう。

たとえば、雑誌協会がこんなお願いをしています。出版社等の多くは自転車操業的なお金の動きをしているそうですから、対応しきれない小規模な出版社や印刷会社もあるでしょう。http://www.j-magazine.or.jp/info_setsuden2.html 社団法人 日本雑誌協会 - 今夏の電力対策および課題改善へのお願い


こうなると、失業者の増加(新規雇用者の縮小や雇い止め)のほか、企業の倒産も考えられます。


国家間の貿易でも、原発に代わって発電している火力発電所の燃料のために、年間4兆円もの輸入額の増加になるそうです。(金額には異論もあるようですが、数兆円になることは間違いない)
石油等の輸入により国内の資産が増えるのなら構いませんが、(二酸化炭素以外は)何も生み出していません。
4兆円の外貨を得るのに、いったいどれだけの貿易が必要であったのか。過去の遺産のくいつぶしです。
国全体の貿易収支が悪化すれば、国家財政のみならず、民間の資金の流れにも悪影響を与え、まわりまわって、企業の倒産や、雇用者の減少、社会福祉の低下につながることでしょう。


そして、日本という国は、失業したり企業が倒産すると人が死んでしまうクズな国家です。(北欧や英国などでは社会保障が充実していたり宗教的な理由も有って、失業や倒産を理由として自殺するというのは一般的ではないと聞きました)
先日、就職の失敗で自殺者がでているというニュースがありました。 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201205130125.html 就職失敗で年150人自殺 11年に30歳未満 - 中国新聞 
この中には電力不足から新規採用を減らしたために就職できなかった就職希望者も居たことでしょう。
また、この数字から大胆に推測すれば、電力不足のために、倒産したり失業したことによる自殺者数は、この1年で数百人程度は発生すると考えざるを得ません。


さらには、発電のために4兆円で買った化石燃料を燃やすとチリが排出され、呼吸器に健康被害を引き起こし、毎年毎年8000人の(日本での)死者が出るという計算も成り立つそうです。(反原発不都合な真実 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4106104571/
この死者は大気汚染によるものですから、日本人だけではありませんにとどまらず世界各地に被害者を生み出します。また二酸化炭素による気候変動によって、ツバイが海面に沈む時期も早まったのではないでしょうか?(ツバイの沈下は気候変動と無関係という話もあるようですが)


そんなことを考えれば、再稼動しないという選択には、かなりの覚悟が必要なはずで、「放射線原発事故への不安」程度で覆されるものではないでしょう。でも、世間の大勢は、毎年毎年、数百人(数千人)もの失われる命よりも、放射線への危機感のほうが強いようです。
理由は簡単で、放射線によって自分や家族が健康被害を受けることに比べれば、失業等で死んでしまうような人の命なんぞ、考慮する価値のない存在だと考えているからでしょう。


ひと月ほど前に「原発を再稼動しないのは集団自殺だ」と言って非難を浴びた政治家がいらっしゃいましたが、集団自殺なら問題ないんですよ。再稼動に反対した人が死ぬだけなのですから。
反対していない人を死に追い込むのは、殺害でしょう。


この1年、偉い人が出てきて、放射線原発について、いろんなことを言ってました。
賛同できない意見も、その人の社会的地位や会社の利益を守るためだと考えれば、動機については一応の理解は出来ました。

でも、毎年毎年数百人(数千人)の死者が出るような政策を、あたりまえの正義であるかのように声高に訴えているのは理解を超えます。ましてや、それが世間の大勢となり、国家を動かしているとなると、恐怖感すら感じます。


もちろん、このあたりのことを十分に理解したうえで、それでも再稼動には反対だというひともいるでしょうし、その意見は尊重します。でも、そこまで自覚しているひとがどの程度いるのか、非常に疑問です。


念のために書いておきますが、ここで書いたことは、停電が起きるかどうかとは、全く関係ありません。
停電については、電力関係の技術者のがんばりと、国民の節電の努力によって、乗り越えられる可能性は高いと思っています。
でも、停電にならなくても、化石燃料をお金を払って輸入し、燃やして二酸化炭素やチリを排出し、企業は節電等の対応をするしかないのですから、国家は疲弊し、大気は汚染され、雇用者数は減少し経済も悪化するのですから、確実に多数の死者がでるということです。


それに、節電の努力が必要という時点で、すでに電力不足に陥っているのであって、停電がおきなければ電気が足りているかのように言うのは詭弁でしょう。


原発の再稼動の是非を考える際、停電するかどうかは考える材料のひとつでしかなく、中心の論点では無いはずなんですが、いまだに、そうはなっていないようです。
どーしちゃったんでしょうね。誰かの陰謀なのでしょうか。




去年の4月の段階で、原発の再稼動を言っていた森永卓郎さんは、たいしたものだと思います。

http://www.news-postseven.com/archives/20110404_16422.html NEWSポストセブン|反発覚悟で森永卓郎氏提案「日本は原発のスイッチを入れよ」

http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20110426/268252/?P=1 電力需要の強制削減の前に供給力の拡大を。どうしても駄目と言うなら、最後の手段として「原発のスイッチを押せ!」 | SAFETY JAPAN [セーフティー・ジャパン] | 日経BP
このままずるずると判断を先送りしていたら、経済が疲弊するばかりだ。日本のエネルギー源をどう考えるのかという長期の問題と、当面の電力不足にどう対応するのかという問題は、分けて考えるべきだ。政府の責務は、国民に耐乏を強要することではなく、普通に暮らせる電力を確保することなのだ。

ここまでの記事とは全く関係ないのですが、色々と検索しているときに見かけた、橋下市長にかかわる新聞記事で興味深かったものを置いておきます。
政治的手腕はともかく、近現代史を知っているなら橋下市長の言動に警戒感を抱くのが普通だと思うのですが、そう感じない人が多いことは、日本の不幸な歴史を見れば明らかですね。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-27/2012042702_04_1.html 原発再稼働容認を示唆/橋下大阪市長/住民に節電責任押し付け

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-24/ftp2012042404_07_0.html 橋下「改革」の危険 4年の実態に見る/市長になっても 全世代への負担増

http://www.asahi.com/special/08002/OSK200812260099.html asahi.com朝日新聞社):橋下知事、公開請求後に庁内メール削除 情報隠しの声も - 橋下知事の日々 2008年12月26日
 大阪府橋下徹知事は26日、府幹部と送受信したメールの一部について、情報公開請求を受けた後に削除したことを明らかにした。これらは「不存在」として開示されない見込み。情報公開に取り組む専門家からは「情報隠し」との声があがっている。

関連しそうなリンク
http://openblog.meblog.biz/article/9513361.html Open ブログ: ◆ 原発事故による死者
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120617/wec12061720480008-n1.htm原発再稼働】「関西はやめた!」 沖縄に逃げるデータセンター(1/2ページ) - MSN産経west

http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/SAGE/SAGE99/sage.html 日本における自殺の精密分析(自殺 分析 日本):(東京都健康安全研究センター
東京都立衛生研究所年報,50巻,337-344 (1999)
景気変動と自殺数との間には相関がみられ,不況時には自殺数が約30%程度増加することが分かった.

http://blogos.com/article/41721/?axis=&p=1 脱原発で日本人は金も命も失う―藤沢数希(外資投資銀行勤務) (1/2)(月刊誌『Voice』) - BLOGOS(ブロゴス)



追記
2012年の自殺者数は、かなり減ると思います。
ただ、それは震災前から低下傾向にあった影響が大きいと思います。下記のリンク先のグラフをご覧ください。
自殺者数をもっと減らすことが可能なはずだったということです。
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_soc_tyosa-jikenjisatsu 時事ドットコム:【図解・社会】自殺者数の推移(最新)


http://www.asahi.com/national/update/0709/TKY201207090340.html 朝日新聞デジタル:1〜6月の自殺数11%減 15年ぶりに3万人切る推移 - 社会