給食検査の記事に、誤解を招く表現

常総市の学校給食検査の記事

去年の11月の、常総市で学校給食の測定を始めたという新聞記事です。

http://ibarakinews.jp/news/news.php?f_jun=13200706655652 給食食材で独自基準30ベクレル 常総市、測定スタート:茨城新聞ニュース
検査結果で、30ベクレルを上回る数値を示した食材は使用しない。


この記事を読んだら、常総市は30Bq/kg 以上のセシウムを含んでいる食材は使わず、暫定規制値の500Bq/kgの約17倍も厳しい基準にしていると思う人が殆どではないでしょうか。

しかし、こちらの記事で書いたように、実際は「セシウム合計」で60Bq/kg が検出下限値ですから、暫定規制値の約8倍です。

そのことは、常総市と同じ測定器を導入し、おそらく同じ条件で測定している牛久市の測定結果のページを見ればハッキリ分かると思います。表の中で不等号(<)で示している数字が検出下限値です(なお、国は牛久市のように検出下限値も明記するよう求めています。常総市の表記は、あまり良くありません)。
http://www.city.ushiku.ibaraki.jp/section/uhtk/radiation_lunch.htm
http://www.city.ushiku.ibaraki.jp/section/uhtk/radiation_analysis_syokuhin.htm


間違ったことは書いていないものの、誤解を招く表現はいかがなものかと思います。

日立市の学校給食検査の記事

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20111224-OYT8T00463.htm 放射性セシウム、31市町村が測定体制 給食の安全、独自基準も…茨城 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
日立市も検出限界値が同30ベクレルの機器を使用するが、「少しでも放射性物質が検出されればその食材は使用しない」(市教委)とし、事実上、規制値を同30ベクレルとして目を光らせる。

この記事はもっとひどいですね。
読んだ人は、日立市では、30Bq/kg 以上の食材は使用されていないと理解すると思います。
しかし、日立市のウェブサイトの学校給食の測定によると、測定方法は「主菜、副菜、汁物について、それぞれ使用する食材(測定までに納入されたもの)を混ぜた試料を測定」となっています。
保育園の測定においては「使用するすべての食材(測定までに納入されたもの)を混ぜた試料」となっています。
複数の食材を混ぜていますから、たとえば100Bq/kg の食材があったとしても、4種類を混ぜてしまえば25Bq/kgとなり検出できません(他の食材は全くセシウムを含まず、等量使うという前提です)。
さらに測定に間に合わなかったものは測定していません。


日立市の学校給食の測定方法は、「ちゃんとやっていますよ」というポーズだけで、実質的な意味は全く無いものと思います。
それはそれで問題ですし、教育委員会の説明も不十分だったのだろうと思いますが、この記事の記述は誤報と言ってもいいと思います。
事故直後の混乱期ならともかく、今でもこのような記事があることは、大変、残念なことです。