図書館のアスベスト。休館にする必要は有ったの?

先週から報道されている常総市立図書館のアスベストの話です。
報道などを集めて、ぐだぐだ書いただけです。新情報や裏情報は有りません。


現時点でマスコミから知った情報から判断する限り、私には市長の対応は大問題だとしか思えません。
起きて欲しくは有りませんが、次に大災害時が起きたときには別の市長であることを祈るばかりです。


基準超のアスベスト検出で常総市図書館 年度内休館へ | 地震予測検証・地震予知情報 / 防災情報【ハザードラボ】
茨城県常総市は16日、市立図書館の天井から国の基準を超えるアスベストが検出されたため、同日から安全が確認されるまでの間、休館すると発表した。このため同図書館は年度内は休館が続くとみられる。

 同館によると、空調改修工事の設計を委託した業者から今年5月に、「天井の建材の一部にアスベストが含有されている可能性がある」と連絡を受け、天井6ヶ所からサンプルを採取したところ、すべてのサンプルから国の基準を超えるアスベストが検出されたとのこと。

常総ルネサンスへの道: 緊急のお知らせです
図書館の天井に使われている材料で
1階  一般書架天井、および児童書架天井の石膏ボード(ひる石吹付)
2階  廊下天井の石膏ボード(ひる石吹付)
これらの部分の吹きつけが方法が
 『 ひる石吹付 』 と言って
ひる石をアスベストと混合し、吹付け機で
吹付けたものである可能性が発覚。
分析調査をした結果、建築基準法
基準値 0.1%を超えるアスベスト
含有していることが判明しました。
よって、適切にアスベストの除去を行う必要が生じました。

遠藤章江議員のブロクによると、アスベストが含まれている天井の建材とは、「ひる石吹付け」だそうです。(吹付けバーミキュライト
グーグル検索をすると、この工法ではアスベストは固定されるため、劣化して崩れたり、さわったりしなければ、アスベストが飛散することはないようです。
実際、図書館で大気中のアスベストを測定した結果、検出限界以下でした。(0.3本未満というのは一般の大気中にも普通にある濃度のようです)

常総市図書館の石綿 防止法基準値下回る : 読売プレミアム
同市は18日、館内の空気中アスベスト濃度が、大気1リットル中0・3本未満と、大気汚染防止法の基準値(大気1リットル中10本)を下回っていた

【茨城新聞】再開、来春以降見通し 常総市立図書館、石綿の除去工事
同市は18日、空気中濃度を測定した結果、基準値未満だったと発表した。



そして、アスベストを発見した際の対処方法をいくつかの自治体のマニュアルをみると、今回のような状態であれば、早い時期に対策を行うとなっています。
(早い時期というのは可能な範囲ですみやかにという意味のようです。直ちに、では有りません)
県有施設の吹付けアスベスト 対策マニュアル - 千葉県 PDF ファイルです
他の地方自治体でも似たような記述となっているので、国の基本的な指針がそうなっているのでしょう。常総市の指針も同様だと思います。
取手市牛久市では、教室などでアスベストを発見しても安定状態であったため、継続使用し、対策工事は後日に実施したようです。
アスベスト(石綿)についてお知らせします - 取手市
市内公共施設アスベスト調査の結果について | 牛久市公式ホームページ



したがって、即座に長期間の休館にする理由があるとは思えません。
5月(6月?)に空調業者 設計会社から指摘されたのに、職員が特別な対応をしなかったのは、単に常総市のマニュアルに沿っただけではないでしょうか。



(遠藤章江議員のブログのコメントで引用されている読売新聞によれば)市長は、報告を受けて、即時に休館を決めたようです。妥当な判断だったのでしょうか。
また、空気の測定も24日から17日に前倒ししたそうですが、検出限界以下だったのに休館を続けているのも、意味不明です。どのみち休館を続けるのであれば、前倒しする必要はなかったはです。


(なお、アスベストを含む建材がひる石吹付け(バーミキュライト吹付け)という話は議員のブログでしか言及しておらず私に確定できていません。また、ひる石だとしても劣化して落ちているというのであれば、話は別になります。この辺り、何かご存知のかたは教えていだたければ幸いです)




ここまでの事なら価値観の違いの範疇かもしれません。
大問題だと感じているのは、情報を一切、市民には伝えていないということです。
常総市のウェブサイトでは「建築材にアスベストを含む材料が使用されていることが確認されました」とあるきりですし、図書館のサイトも同様です。
マスコミと議員には伝えているのに、一般市民には全く伝達していません。市民派を掲げていらっしゃいませんでしたっけ?


多数の市民や職員の健康に影響があると思ったからこそ、多大な影響のある休館という対処を即座に決められたのでしょうに、どういうことでしょう? 理解不能です。
チラシや回覧でも入れるのかと思って、この件をブログに取り上げるのを控えていたですが、一週間たっても市は何の情報も出しておらず、あまりにも酷すぎるのでブロクで記事にさせていただきました。


災害が起きたら、何を基準に判断し、その結果をどうやって市民に伝えるつもりなんでしょうね。問い合わせがあれば答えるだけとか?
原発事故の際の避難計画は作れないと主張されていましたが、それ以前の問題です。



原因を少し考えてみると、副市長が居ないために、情報の入手や判断が偏っているためではないかという気がしています。
副市長が居ないのは、市議会が経費削減のためとして副市長の任命を同意しなかったためです。
市議会(議員)は削減した経費以上の損失を市民に与えているとしか思えません。
月に40万円の報酬もあるのに、市民の税金でゴルフだの釣りだの何だのをしていて経費削減とはねぇ。



以下、マスコミの記事などへのリンクです。
アスベスト:天井に基準超す石綿 常総市立図書館を休館 /茨城 - 毎日新聞
【茨城新聞】常総市立図書館、天井で石綿検出 除去へ当面休館
茨城 図書館の天井から基準超アスベスト NHKニュース
茨城 図書館の天井から基準超アスベスト - YouTube
東京新聞:常総市立図書館 基準超える石綿 当面休館に:茨城(TOKYO Web)

常総市、図書館を閉鎖 基準超の石綿 : 読売プレミアム
ひる石吹付け材が使われた校舎における石綿曝露リスク管理方式に関する研究 PDF ファイル



大気保全 - 茨城県生活環境部環境対策課


環境省 報道発表資料−平成25年8月9日−平成24年度アスベスト大気濃度調査結果について(お知らせ)

アスベスト対策について 学校施設等における吹き付けアスベスト等の使用実態調査等の結果について(通知)[参考資料]−文部科学省(平成17年11月29日付17文科施第273号)抜粋
2.損傷、劣化等による石綿等の粉じんの飛散により、ばく露のおそれがないもの(「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査表」の3に分類されるもの)の取扱いについて
 損傷、劣化等による石綿等の粉じんの飛散により、ばく露のおそれがないものの場合であっても、児童、生徒及び学生等のボール遊びや、経年による劣化、損傷等によりアスベスト層が破損すると、石綿等の粉じんが飛散するおそれがあるなど、将来的に飛散する可能性がないとはいえない。このため、最終的に吹き付けアスベスト等が除去されるまでの間、児童、生徒、学生、教職員及び保護者等にそのことを周知するとともに、吹き付け材の表面の状態及び使用状況等の点検・維持管理を行う
 また、安全・安心な環境の確保に万全を期すという観点から、維持管理を行った上で、運営面にできるだけ支障をきたさないよう考慮して、計画的に除去を行うなどの対策を講じる。

アスベスト調査.NET::速報:アスベスト6種類の調査について厚生労働省
平成20年2月6日付けで厚生労働省から通達が発令され、石綿アスベスト)の分析対象が「3物質」から「6物質」になりました。
平成20年2月6日 厚生労働省労働基準局による通達
⇒基安化発第206003号(PDF 112KB ダウンロードできます)
難しい内容をなるべく分かりやすくご説明しますと…

石綿アスベスト)の種類にはクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、トレモライト・アンソフィライト・アクチノライトの6種類があり、これらすべての種類の石綿を0.1重量パーセントを超えて含む物を石綿障害予防規則(石綿則)等の規制の対象としている。

しかし、過去建材等に使われた石綿は主にクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)だとされていたことや、分析基準であるJIS A 1481における適用範囲が主に上記3種類とされてきたことから、残りの3種類(トレモライト・アンソフィライト・アクチノライト)は分析調査の対象外になることがほとんどだった。

ところが最近になって建築物の吹付け材からトレモライト等が検出された事実が明らかとなり、今後は6種類すべてのアスベストの分析調査を徹底することが求められる。

アスベスト調査.NET::分析・調査対象1-4【吹き付けバーミキュライト(ひる石吹き付け)】(バーミライト、ミクライト、ゾノライト、モノコート等)


吹き付けアスベスト(石綿)確認フロー 稲城市ホームページ


吹付けアスベストかどうかは、施工時期で判断できますか? « 中野区公式ホームページ
1 現在と対象が異なる、昭和50年の「吹付けアスベスト」規制

 昭和50年にアスベストの吹付け作業が特定化学物質等障害予防規則により原則として禁止されましたが、これはアスベストの含有率(重量比)が5パーセントを超える吹付け材のみを対象としていました。このため含有率5パーセント以下のアスベスト含有吹付けロックウールなどは、それ以後も使用されていました。平成7年に、アスベストの含有率が1パーセントを超えるものをアスベスト含有物とする改正があり、その後は、1パーセントを超える吹付け材が「吹付け石綿アスベスト)」となりました。
 なお、平成18年9月1日から改正労働安全衛生法施行令が施行され、現在では、アスベストを含有している製品の定義は、「重量比で0.1パーセントを超えるもの」になっています。


遠藤章江議員のブログで7月随時会(非公開の議員全員協議会?)の際に、「Q なぜ平成17年の調査の時には発見できなかったのか? A わからない。それを調査するよりも対応を優先した」というやりとりがあったと書かれています。
常総ルネサンスへの道: 7月随時会議開催(1)アスベスト問題
執行部の真意はわかりませんが、下記の文部科科学省のページ(の別紙2)を見ると、最初の調査時(常総市は平成17年)での規制基準(1%。対象3種類)を満たしていたとしても、その後の対策状況調査(フォローアップ)で発見できるはずだったようです。
したがって常総市立図書館は「最初の調査時にアスベストは(全く)含まれていないと誤って判断されていた」または「追跡調査の対象であったのに漏れていた」のどちらかなのでしょう。
建材の調査の結果を、0.1%以上としか言わず、1%未満と言っていないということは、1%を超えた箇所も有ったと考えるのが妥当ですし、(有無のみを調べる定性調査ならありうるので削除) 設計会社は図面(のおそらく建材名)を見て指摘できたのですから、最初の段階で見落としていたのではないかな。
したがって、規制基準の強化(1%から 0.1 %に)は、これまで発見できなかったことの直接の原因では無いと思います。
わからないという答弁は、最初の調査で図面から見落としてしまった経緯は分からないということでしょう。
そうだとすると他の施設についも再調査が必要になりそうな。
アスベスト対策について 学校施設等における石綿障害予防規則第3条第2項の規定による石綿等の使用の有無の分析調査の徹底等について(通知)−文部科学省