市の甲状腺検査の結果をめぐって

常総市が助成している甲状腺検査の現時点での結果が公表されています。
これについて議員さんや市民団体さんがブロクでも取り上げておられます。それらページへのリンクを記録するだけのつもりで書き始めたのですが、市長の発言が少々気なったので、コメントしています。


常総市のウェブサイトにある結果

http://www.city.joso.lg.jp/joso/www/04926.html 常総市ホームページ - 甲状腺エコー検査の結果について

遠藤ふみ江議員による一般質問と、答弁(9月9日)

http://renaissance.de-blog.jp/fuchan/2013/09/201391_8425.html 常総ルネサンスへの道: 2013年9月議会一般質問/ 甲状線エコー検査(1)
http://renaissance.de-blog.jp/fuchan/2013/09/01392_b232.html 常総ルネサンスへの道: 013年9月議会一般質問/ 甲状線エコー検査(2)
http://renaissance.de-blog.jp/fuchan/2013/09/201393_de15.html 常総ルネサンスへの道: 2013年9月議会一般質問/ 甲状線エコー検査(3)


常総市の子ども達を守る会の、執行部および市長との話し合い

http://jousoumamasann.blog.fc2.com/blog-entry-203.html 常総市の子ども達を守る会 甲状腺検査についての話し合い
http://jousoumamasann.blog.fc2.com/blog-entry-210.html 常総市の子ども達を守る会 市長との面談のご報告


参考

常総市で助成を開始した2月頃のウェブ記事)
http://jousoumamasann.blog.fc2.com/blog-entry-184.html 常総市の子ども達を守る会 常総市甲状腺検査費用、4月から一部助成 !
http://d.hatena.ne.jp/hyakubann/20130224#p2 2013-02-24 - ひつじのメモ 甲状腺検査の補助を始めるそうです。
ヨウ素剤の備蓄・服用の解説書)
https://www.nsr.go.jp/activity/bousai/iodine_tablet/index.html 安定ヨウ素剤の配布・服用に関する解説書|原子力防災対策|原子力防災|政策課題|原子力規制委員会




市長の発言について

私は、これまでにも書いてきたように現時点での甲状腺調査は、健康被害を減らす効果は無さそうなので、否定的です。さらに常総市のやり方では、将来に役立つデータになるとも思っていません。
それを割り引いても市長の発言は問題だと感じましたので、疑問点を書いておきます。


・「この結果には驚いています。大変心配な内容で、福島県県内の子ども達と同じくらいの内容だ。今後十分に注意をして、検査を続けていきたい。 」
福島県と同じくらいですが、長崎県山梨県青森県など遠隔地の子供とも同じくらいです。
また常総市で導入を決めた時点(今年の2月)でも予想できた割合です。どのような結果を予想して助成事業を始められたのでしょう? 
その後に出た他の調査結果をみても同等の結果なのですから、認識不足なのではないでしょうか。副市長が空席のため手がまわらないとか、調査・助言してくれる人が居ないのでしょうか。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16520 環境省 報道発表資料−平成25年3月29日−福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ)
http://d.hatena.ne.jp/hyakubann/20130730#p1 2013-07-30 - ひつじのメモ (メモ)甲状腺調査(常総市と生活クラブ)


・「市として検査データの保管をしていきます。」
甲状腺調査の案内(リーフレット)には市が個人の結果を保管することは明記していません。今までの結果を収集することはできないのではないでしょうか。
本人の任意提出なら良いでしょうけど、未成年でしょう? 拒否や抹消を申し出できるシステムにしないと危険でもあります。
そして、甲状腺調査の結果は、行政の運営上に必要な個人情報では有りませんから、条令を作るなど特別な対処が必要だと思います。
少なくともに、案内書には、市が結果を収集・保管する(している)ことを明記すべきでしょう。
(助成の申込書には記述しているのかもしれませんが、案内書に書かなくて良い理由にはなりません)



・「安定ヨウ素剤の備蓄をするようにします 」
ヨウ素剤というのは、基本的には1回しか服用できず、効果は24時間だそうです。したがって、服用するのは、ここぞっ、という時の一発勝負になります。(想定されているのは、室内待機できず、高い放射線量の中を通って移動しなければいけない時や、意図的に放射性物質を大量放出させる時のようです)
東電原発事故の際、ヨウ素剤を服用させるべきだったいう意見もあります。しかし原発から30〜50キロ程度までの地域の話です。
常総市安定ヨウ素剤が必要になるような事態を想定したなら、安定ヨウ素剤の備蓄よりもはるかに優先順位の高い事項があるんじゃないでしょうか。ましてや防災計画に組み込むとなると、無理やり備蓄する理由を作らねばならず、歪んた計画になりかねません。10年後に読んだら意味不明な記述になっているのでは?
そして安定ヨウ素剤の有効期限は3年しか有りませんが、東海第二原発の再稼動に必要な防潮堤は、完成に2〜3年はかかります。(そもそも市長も市議会も再稼動に反対されていたはず)
予算も必要なのですから、現時点で対応を表明するのは、あまりにも早すぎるのでは?




申し訳ありませんが、市長は、あまり深く考えずに(調べずに)甲状腺調査の助成事業を始めてしまったように感じてます。
また、甲状腺に異常が発見されなかった保護者に「よかったね。ひとまず安心ですね」と言うのならともかく、「チェルノブイリでは事故から4年を経過したぐらいから甲状線がんが出てきている(よって現状は安心できない)」と言われるのであれば、「不安の軽減」という事業の目的は全く達成できていません。市長ご自身も結果をみて驚いて、心配を増やしているようですし。
目的を果たせない事業への税金の支出は停止すべきでしょう。話の筋道が通っていません。


市長の仕事は沢山ありますから、あまり時間は使えないかもしれませんが、レクチャーを受けて、基本的な情報や、主流な(標準的な)解釈を確認したほうが良いのではないでしょうか。