(追記 5月13日)ちなみに武田教授は1mSv/yについてどう言っているのか

武田教授のブログをチラチラ見ていたら、幾つかの発言がありました。
執筆時点で一番新しい、1mSv/y に関する記述は以下のもののようです。

http://takedanet.com/2011/05/110511_b1ad.html 武田邦彦 (中部大学): 科学者の日記110511 放射線と体
平成23年5月11日 午前8時 執筆)
一方、 人間は、自然からのストレスに対して抵抗力で直すことができますが、そのレベルは人間の集団が生きてきた環境に依存します.
この場合は、自然放射線が1年に1.4ミリシーベルトとですので、数ミリシーベルトまでは修復が可能と思います.
(略)
これらのことを総合してみると、現在ではやはり国際放射線防護委員会が定めた。1年1ミリの基準を安全として見ることが最も適切あるという結論になります。

これは、まぁ、普通の記述なんでしょうが、前日には凄いことを書いてました。

http://takedanet.com/2011/05/110510_9f92.html 武田邦彦 (中部大学): 科学者の日記110510 日々、変わっていくこと
平成23年5月10日 午前10時 執筆)
その意味で放射線による被爆と人体への影響ということを考えるときに、現在の知見(正しいこと)は、1年に1ミリシーベルトを浴びるとかなりのがん患者が出るということであり、また将来はそれが「さらに厳しくなるか、または緩和されるか」は判らないということです。

えぇっ? 1年に1ミリシーベルトで「かなりのがん患者」。
それは大変なことですし、その数字が「安全として見ることが最も適切ある」になるんですか?
さらに、さかのぼってみました。

http://takedanet.com/2011/04/63_6329.html 武田邦彦 (中部大学): 原発 緊急情報(63) いろいろな問題と考え方
平成23年4月24日 午後1時 執筆)
これをわかりやすい言葉で言えば、「1年間に100ミリの場合、10万人の子供あたり500人がガンになる」という事です。
この数値が大きいか小さいかは人によって違うのですが、これまでの考え方は、「10万人に5人ぐらいなら我慢ができる」ということで限度を1ミリにしてありました。

「10万人に5人」というのが「かなり」ということなんでしょうか。

http://takedanet.com/2011/04/post_0ebb-1.html 武田邦彦 (中部大学): 原発 毎日のこと 被ばくは取り返せる
平成23年4月20日 午後10時 執筆)
たとえば、胸のレントゲンを1回、受けると50マイクロシーベルトの被ばくをします。医療の被ばくは別計算ですが、体の方は、0.11マイクロシーベルト(1時間あたり)なら回復しますから、15日で胸のレントゲンは忘れてもよいという状態になります.

0.11μSv/h という数字は何だろう? と思いましたが、これは、0.11 × 24(時間)×365(日)=963.6μSv/y≒1mSv/y という意味ですね。
このころは 1mSv/y なら自然回復する(病気ガンにならない)という認識だったんでしょうか。

http://takedanet.com/2011/03/post_ac85.html 武田邦彦 (中部大学): ご質問と回答
平成23年3月31日午後10時 執筆)
人工的な放射線がプラスされる場合、通常の人の場合には、5ミリシーベルトから10ミリシーベルトまで大丈夫なのですが、赤ちゃんや免疫が少し弱い人等がおられますので、安全を見て世界的な基準が低くなっています.

この頃は、大人については、5〜10mSv/y まで大丈夫という認識だったんですね。
どうやら、1mSv/y を安全(目標とする)と判断したのは5月11日のようです。(それ以前の記述は、法律で 1mSv/y となっているから守るべきという書き方をしています。全てを読んだわけでは有りませんが)
そして、その数字を達成すれば死者ガン患者を出さないですむかどうかは、判断できていないように思えます。

5月16日 武田邦彦教授講演会より(5月17日 追記)

見ていた方がリアルタイムで打ち込んだものなので、間違いがあるのかもしれませんが、健康な大人なら6mSv/y(5.2mSv/y) まで問題ない(自己修復できるのでガンにならない)との認識のようです。
2.4mSv/yというのは、自然放射能1.4に公衆被曝限度の1を足したものか、内部被曝を含めた通常の日本人の年間被曝量でしょうが、5.2 とか 6 とかの数字の根拠はなんでしょうね。
(追記)5.2mSv/y というのは、放射線管理区域(3ヶ月で1.3ミリシーベルト)から算出した値のようです。この数字もガン等になるどうかで設定された値ではないと思うのですけが。

http://togetter.com/li/136395
武田「第一目標は1年1ミリ、第二目標は健康や栄養バランスに気を付けていれば5.2ミリまでほぼ大丈夫なんです」
武田「2.4mSVまでなら、自分で修復できる。健康で壮健な大人なら6msv。」「世界基準はあてにならない、肌の色も違う」

大槻教授も 5mSv/y までならガンになる確率はゼロ(5月18日 追記)

http://ohtsuki-yoshihiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-8192.html 仙台に住めるか?: 大槻義彦のページ ―大槻義彦公式ブログ― powered by ココログ
海外には5mSv程度の自然放射能はザラにあります(略)
もし年間0.09mSvの放射能をこのまま浴び続けるとしても癌や白血病のリスクは0と思っていいでしょう。もちろん、年間5mSvでも同じです。

武田教授は放射線ホルミシス効果を否定していないようだ(6月28日 追記)

放射線ホルミシス効果とは、「低線量の放射線を浴びることは健康にプラスを働きをする」というもの。
これについてちょっとでも言うと、次のような批判がなされたりします。この加納時男さんの発言については、他でもかなりの非難があったようです。
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/426.html 「低線量放射線体にいい」加納時男東電顧問(朝日5/5)

しかしながら以下のような記事もあり、必ずしも荒唐無稽とは言えません。東電事故原発の近くはともかく、放射線量が少し高くなった程度の地域なら、ホルミシス効果の方が強く現れるかもしれません。

http://criepi.denken.or.jp/research/review/No53/index.html 低線量放射線の影響の 正しい理解へ向けて
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/cobalt_apartment.html コバルト60が鉄筋に混入したアパート住民の健康影響調査 ― 放射線安全研究センター ―
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020103/03.gif
http://www.nagaoclinic.or.jp/doctorblog/nagao/2011/05/post-1544.html 放射線ホルミシス|Dr.和の町医者日記
http://blogs.yahoo.co.jp/mozugoe/3435798.html 少量の放射能は怖くない、百薬の長にもなる
他にも「放射線ホルミシス」「放射線ホルミンシス」で検索するとさまざまな情報が見つかります。
また、武田教授も認めているようです。

http://takedanet.com/2011/06/post_64b4.html 武田邦彦 (中部大学): 健康をどのようにして回復するか(1) ラドン温泉の効用
つまり、ラドン温泉の効用は、
1) 普段、低い放射線を受けていて、少しのガンが体にできる、
2) それを除くために少ない「ガン退治化合物」が体内に出来ている、
3) でも、日常生活を送っている時には、体内の「ガン退治化合物」はそれほど多くない、
4) そこで、時々、放射線の高いラドン温泉とかラジウム温泉に行く、
5) そうすると、そこで放射線あびるので、体がビックリして「ガン退治化合物」を急に作って体を守ろうとする、
6) ラドン温泉に2,3日浸かり、体を騙してガン退治化合物を増やし、それから日常の生活に戻る、
7) 日常の生活ではあまりガンが出来ないので、余ったガン退治化合物が体の中のガンをすっかり退治してくれる、
と言う仕組みと考えられます.

http://takedanet.com/2009/05/post_dbf8.html 武田邦彦 (中部大学): インフルエンザとはなにか? (4)(平成21年5月5日 執筆)
どうしてこんなに放射線が安全かというと,もともとは危険なので,防御機構が発達するからであり,なぜ防御機構が発達しているかというと太陽が原子炉で,そこから有害な放射線が降ってきた時代に,生物は頑丈な防御を作ったからである.
原始的な生物の一つ,大腸菌ですら放射線に対して5段階の防御を持っていて,容易にはやられない.まして高等動物中の高等動物である人間は,ものすごく精密な防御システムを持っている.
だから,容易なことでは放射線で障害を受けない.むしろ,あまりに複雑なので,長く使わないとリストラされる。むしろ,免疫と同じだから,少しは放射線を浴びておいた方が「異物を取り除く体の中の自衛隊」を育てておくことができる.

追記 7月4日 放射線が無いと繁殖率が下がることがあるらしい

「本当は怖いだけじゃない放射線のはなし」(大朏博義(おおつきひろよし)著)という本に、放射線を減らすとゾウリムシは繁殖しなくなるという話が書かれているそうです。発見したのがホルミンシスの提唱者ということで眉につばつける必要はあると思いますが、他にも、そういう報告はあるようです。

http://30932531.at.webry.info/201106/article_21.html 放射線の話 森の散歩/ウェブリブログ
放射線のない環境では生物はどうなるか」を調べようとする実験も行われた。1970年のこと、フランスの研究チームが厚さ10センチの鉛製の箱の中でゾウリムシを飼った。内部被爆など防ぎ得ない点もあっただろうし、鉛の影響が逆に出てくるかもしれない、ピラミッドパワーなど信じる向きは特にそう思うだろうが、そのような放射線のわずかな環境ではゾウリムシは自然環境化にある大将軍の60%しか増殖しなかった。鉛の影響があるかもしれないので、ためしに飼い箱の中に放射性物質を少し入れてみると増殖率が上がった。翌年、地下200メートルの洞窟(宇宙線が地上の10〜20%しかない)で育ててみても、普通の場合の半分ほどにしか増えなかった。さらに洞窟内の飼育箱を鉛で覆ってみると、ほとんど増殖しなくなった。・・この結果に夢中になった研究者が、「放射線ホルミシス」説の提唱者米ミズリー大のT.D.ラッキー教授である。