東海村の人口推移

数日前に平成24年の日本全体の人口は前年比で 28万人の減少という新聞記事がありました。
また、少し前になりますが、将来の人口推計についてのニュースもありました。

http://ibarakinews.jp/news/news.php?f_jun=13650004819672 県内人口2040年推計 大子町半減:茨城新聞ニュース 2013年4月4日(木)
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来人口推計で3日までに、2040年の県内市町村の人口はつくば、守谷、東海の3市村を除き41市町村で減少することが分かった。

( 記事の元になった人口推計データの詳細 http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/t-page.asp 日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)|国立社会保障・人口問題研究所 )



守谷市放射能の懸念のために人口が減ったという話を聞いていたのですが、改めて守谷市のウェブサイトで確認した所、毎年、増加しているのですね。人口が減ったのは一時的な現象だったようです。
(ただし伸び率は震災の頃から鈍化したようです。少々古いデータまでですが、こちらにグラフがあります。 http://p.twipple.jp/ZJX2C ogashiwa_gardenの投稿画像。)



同時に「何で東海村の人口は増えるの?」という疑問も湧いたので、ちょっと検索してみとことろ、なかなか考えさせるものだったので、まとめてみました。


まず、東海村の過去の人口推移がよく分かるグラフがこちらです。
東海村議員のウェブサイトにあったグラフを、説明の都合上、一部を加工して転載します)

これを見ると東海村の人口(赤い点々)は増加し続けていたのですね。知りませんでした。
増加の内訳をみると、転出者よりも転入者が多くなっていますから、仕事のために転入してくる男女による移転人口の増加(移動率)と、若い男性転入者に連れ立って転入してきた女性が子供を生むことによる自然人口増加(出生率)の二重の効果によって人口が増加していると想像します。
(人口問題研究所のサイトで東海村の純移動率を見ると、男女ともに20代の純移動率がずば抜けて高くなっていることが裏付けです。 ちなみに常総市の純移動率は、ほぼ全ての世代でマイナスですから、常総市の人口減少の原因は少子化(出生数の減少)だけでは無く、人口流出もあるということなのでしょう)


将来人口を推計するのに用いたデータは平成18年から平成22年の5年間ですから、将来人口も当然に増加となります。
東海村の主要産業は農業と原子力関連施設だそうですから、将来推計人口が増加となったのは、原発のおかげと言って良いと思います。
(農業を目的に移住してくる人が毎年毎年、百人単位で居るとは考えにくいですし、子育て支援などの社会福祉を手厚く行えるのは、原子力関連施設からの税収や支援があるからと想像するので)


さて、上に上げたグラフでは平成24年分を消しています。消していないグラフはこちらです。

震災があったのは平成23年3月でした。その影響が明確になる平成24年は明らかに人口の伸びが止まっています。
今年(平成25年)の4月までの人口を東海村のウェブサイトでみると、平成24年11月の37855人が2つ目の天井となり、それ以降は減り続けています(平成25年4月は37789人)。
東海村の議事録を読むと、外国人登録者名簿を整理したなどの影響もあるようですが、それだけではないでしょう。http://www.gikai.net/gikai/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?A=frameNittei&USR=tokai&PWD=&L=1&R=K%5fH24%5f12130004%5ftxt%5fL00000035%5f00000152 )


また、グラフを見ると、平成24年は転入者よりも転出者が多くなりそうですから、移転人口はマイナスです。
転入超過から転出超過になるのは質的に大きな変化だと思いますす。(議事録では低位で推計した将来人口と同等だから予想の範囲内と言っていますが、低位というのが転出超過という条件なのかどうかは、わかりませんでした)
こうなると、転入してくる女性による出生数も今後は減っていく可能性があり、自然人口もマイナスとなります。
したがって、この傾向が止まらなければ、今までとは逆回転の二重効果によって急激な人口減少が始まるかもしれません。(特に若年層が減少する)
人口が減少すると、一般的に経済活動は低下し、税収は悪化し、高齢化し、財政の維持も困難になります。


東海村では(原発の存廃とは別に)“TOKAI原子力サイエンスタウン構想”を掲げています。
具体的な事業は始まっていませんから今後の展開は不明ですが、原発によってもたらされた支援金や税収、人口などを、それらの事業で補えるかというと、かなり厳しいと思います。


自治体の運営ができなくなるから原発を動かせというのは、あまりにも乱暴です。
でも、直近の人口の変化をみるかぎり、原発を止めてしまうと、現状の社会福祉や公共施設の維持は無理そうです。
原発を止めても現状を維持できるという前提で将来を選択するのは、(原発神話と同様に)危険でしょう。



なお、記事中のグラフは、こちらの東海村議員のサイトから使用させていただきました。ありがとうございました。
http://www.garan.ne.jp/ochi/activity/%e6%9d%b1%e6%b5%b7%e6%9d%91%e3%81%ae%e4%ba%ba%e5%8f%a3%e3%81%af%e5%a2%97%e3%81%88%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%ef%bc%9f%ef%bc%9f/ 東海村の人口は増えている?? | 東海村議会議員 越智辰哉 公式サイト



参考資料
http://www.pref.ibaraki.jp/tokei/betu/jinko/getsu/jinkou1303.html 茨城県の人口と世帯(推計)−平成25年3月1日現在−


東海村が独自に(?)平成 41 年(2029 年)の推計人口を算出した際の資料(2010年度?)。将来人口推計の方法を分かりやすく解説しています。 「将来推計人口」推計値算出資料 http://www.vill.tokai.ibaraki.jp/manage/contents/upload/201001_20100301_0008.pdf
東海村のウェブサイト http://www.vill.tokai.ibaraki.jp/viewer/info.html?id=2449&bcn=genre&anc=1-14-2 東海村:|| とうかいの統計(平成25年4月1日現在)

TOKAI原子力サイエンスタウン構想(PDF 638.2KB) http://www.vill.tokai.ibaraki.jp/manage/contents/upload/1001055_20121226_0002.pdf 7ページ
東海村の産業構造・就業構造を見ると、「平成 21 年経済センサス−基礎調査」によれば、東海村全体の従業者数は 18,784 人で、このうち「学術研究、専門・技術サービス業」が 4,715 人と最も多く約 25 %を占めているのが特徴です。つくば市は 23,122 人で約19 %ですので、割合で見ればつくば市よりも多く、茨城県平均の約 4.3 %を大きく超えています。次いで「卸売業・小売業」が 2,649 人、「サービス業(他に分類されないもの)」が 2,066 人、「製造業」(核燃料加工事業はここに含まれる)が 1,643 人と続きます。一方、最近行った東海村の調査によれば、原子力関係機関の従業者数(協力会社社員を含む)は約 6,000 人で、うちJAEAとJ−PARCセンターで合わせて約 4,000人弱、次いで日本原子力発電㈱が約 1,300 人となっています。
● このほか、東海村は、原子力関連の来訪者が多いのも特徴です。東海第二発電所の定期検査時(通常は 13 ヶ月の運転後に数ヶ月間)には、約 1,000 人の作業員が来村しています。一方、J−PARCが稼動した平成 20 年( 2008 年)以降、国際的に活躍する多数の若手を含む研究者や学生などが中心の“ユーザ(施設利用者)”等の来訪者が増加しており、その約半数は外国人です。その数は,東日本大震災後に運転再開した平成24 年( 2012 年)1月現在で 2,739 人日/月であり、震災以前のピークだった平成 22年( 2010 年) 10 月現在の 3,612 人日/月には及ばないものの、その年度の平均 2,419人日/月を上回っています。今後は、 4,300 人日/月を超えることが予想されており、国内外を問わず、多くの研究者等が来村する見込みです。
東海村の財政を見ると、平成 24 年度当初予算 166 億円のうち原子力関連の歳入は 55億円であり、歳入全体の約 3 分の1を占めています。原子力関連の内訳は、JAEA関連が 34 億円、日本原子力発電㈱関連が 18 億円であり、民間事業ではなく研究開発関係の寄与が大きくなっています。また、固定資産税が中心の村税だけを見ると、総額 104億円のうち原子力関連は 41 億円(JAEA関連が 26 億円、日本原子力発電㈱関連が12 億円)となっています。