5月定例会の議事録が公開 都市計画税/鬼怒川沿いの太陽光発電所

昨日、記事にした喜見山明議員は、公用車の他にも都市計画税について質問されています。
質問の主旨は、都市計画税を本来の目的の外に使っているのではないか、逆に都市計画税でまかなうべき事業を一般の税金から支出しているのではないかということと、都市計画税を水海道地区の一部からだけ徴収している(石下区域からは徴収していない)のは不公平ではないかということのようです。
主張そのものより、気になる発言が多かったので、そこを引用しておきます。

発言番号 143
部長、都合が悪くなったら議論するなんて言うんじゃないですよ。私がさっきも言ったように、一部の常総市の職員が市長のところに書類を上げたら、市長が握りつぶしたんだか何だか知らないけど、(略)
今、部長は今から全部話し合って協議してやっていきますと、うそ八百言うんじゃないよ。職員がだれとだれが上げたまで、名前は上げないけど、この前に座っている中にもいるんだよ。協議してください、できますからと。企画の職員の中にも。部長、税務課の職員の中にもいるんですよ。こんな不公平な税金の取り方はない、おかしいということで。そうでしょう、部長。そんな出まかせ。
 市長のごますりだか自分が部長になりたいか。自分だって税務課の徴収課長をやっていたんでしょう。あんたはよくわかっているでしょうよ。(略)
一般会計から足らないから繰り出しでしょう、部長。でき上がってたって大変になってくるんですよ。そういう状況で、これは時間の都合があるんですけども、もう合併して3年と1期分だけ都市計画税が違法に徴収されていて、これは裁判をやろうという人がいるんです、常総市に。部長、この辺をどういうふうに説明をするのか。返すのかこれを今後。どういうふうに今後変えるのか、その辺をちょっと答弁してください。

発言番号 151
市長、これは前の市長が握りつぶしたらしいんですけども、市長は今後これに前向きに取り組んでいくか取り組んでいかないか、きちんと説明してくれないと市民の一人が怒っていてね、常総市を相手取って裁判をやると、都市計画について。私のところに来ていますので、名前は上げられないけど。常総市も大変なので、私ももう少し時間をくれということで話しますので、市長、きちんと協議して、これから平等性に沿った形の方向性でやっていく考えがあるかないか、ちょっと答弁をお願いいたします。

訴訟の論拠は、どのあたりなんでしょうね。3年と1期分という言葉がでてくるところをみると、不均一課税は合併後5年間のみ許されるという点なのでしょう。でも、以前に当ブログで記事にしましたが、違法(or 不当 or 不正)と言えるのかどうか。自治体の裁量の範囲内とされそうな。
それにしても、異様な発言ですね。過去の議事録はろくに読んでいませんでしたが、以前から、こんなふうだったのでしょうか。


議員の発言で、兵庫県豊岡市を、合併した後、都市計画税を廃止する代わりに市内全域の固定資産税を増税した自治体の例として出しています。(1市5町の合併)
都市計画税を廃止し、固定資産税の税率を改正します(平成20年10月)
しかし、ここに合併した旧城崎町は、合併の直前に都市計画税を廃止するという頭の良いことをやっています。
不平等だよ、都市計画税! - 兵庫県豊岡市 | mixiコミュニティ
また、旧豊岡市は山林・農用地等を除く全域に都市計画税をかけていたようです。
不公平な都市計画税 負担重い不公平な都市計画税は廃止せよ
旧豊岡地域だけ課税は不公平だ 全域に課税すれば旧町地域は増税
さすがにこれでは旧城崎町の住民は居心地が悪いし、旧豊岡市の全ての住民は不満を持ったでしょう。他の自治体も増税の可能性も意識したうえで合併したはずです。
手続きの参考例にはなるかもしれませんが、常総市とは事情が違いすぎるように思えます。


視察に行かれた別の自治体の議員さんによる記事です。事情が良くわかります。
豊岡市の視察 - 加東市議会議員・藤尾潔の出る杭日記
この議員さんの加東市も市街化区域のある自治体と無い自治体の合併で、都市計画税の税率を下げる(0.3から0.2)ことで決着したようです(つまり市街化区域のある地域と無い地域を存置したまままということのようです)。


常総市が参考にするとしたら、この加東市のほうじゃないでしょうか。
市街化区域の変更(線引の新設、廃止)は税金以外への影響も大きいので、都市計画税の税率を0.1%くらいまで下げつつ、市内全域の家屋の固定資産税を増税することで相殺するとか。
ざっくりとした計算では一人あたり年3000円くらいの増税(市街化区域の住民は6000円くらいの減税)だと思うので、なんとか受け入れ可能な金額ではないでしょうかね。



住民負担は高いほうへ、行政サービスは低いほうへ都市計画税に見る「平成の市町村大合併」の欺瞞|相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記|ダイヤモンド・オンライン


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風野芳之議員が鬼怒川沿いの太陽光発電事業について質問されています。
質問より答弁のほうに情報量が多かったので、そちらのみ引用します。

160
◯都市建設部長
それでは、風野議員の御質問にお答えいたします。
 鬼怒川左岸の若宮戸地区につきましては、堤防が築かれていない無堤部が約1キロメートルにわたり存在しておりますが、通称十一面山の丘陵部が自然の堤防の役目を果たしておりました。御指摘の若宮戸地先におきましては、ことし3月下旬に若宮戸地区の住民の方より丘陵部の一部が掘削されているとの通報があり、現地を直ちに確認し、鬼怒川を管理している国土交通省関東地方整備局下館河川事務所へ報告したところでございます。当該地区は民有地であったため、民間事業者の太陽光発電事業により丘陵部が延長約150メートル、高さ2メートル程度掘削されたものでありました。今年度の出水対策といたしまして、下館河川事務所で検討をしていただいた結果、太陽光発電事業者の土地を借りて丘陵が崩された付近に掘削前と同程度の高さまで大型土のうを設置することとし、現在常総市とともに交渉を進めている状況であります。また、今後は下館河川事務所において築堤の事業化に向けて検討していると聞いております。

188 
◯道路課長
このソーラー事業に関しましては、建築物をつくるものでもないということですので、開発とかそういう届け出は市のほうになされておりませんでした。そういうこともございまして、ちょっと把握はしてなかったんですが、土のう設置について何回か接触しておりまして、その中の話では、大体6月中くらいに整地が終わって7月から太陽光パネルを設置するという予定で聞いております。

いくら民有地とはいえ、堤防としての機能を果たしていそうな土地を、どこにも相談も通知もなく掘ってしまうというのも凄いですね。何十年もそこで事業を行うのですから、それなりの配慮をしたらよさそうなのに。


短期的には土のう、長期的には堤防を作るようですが、洪水になれば流されたり水没したりすることもあるでしょう。光が当たっていれば発電してしまうので感電や発熱など、今まで以上の注意が必要でしょうね。
原発だって停止しても発熱を止められなかったから事故になったわけですから。
河川氾濫、みるみる冠水 宮崎県内豪雨 - Miyanichi e-press


追記 2015年9月10日
本日、常総市内で鬼怒川の洪水が起きました。2箇所で起きたのですが、混同しやすいようです。写真を見れば別の場所だと分かると思います。(近くといえば近くなので、もしかしたら堤防の決壊に影響したのかもしれませんが、現時点では不明でしょう)
越水した若宮戸地区(午前6時30分頃)
【鬼怒川で堤防決壊】ソーラー発電開発者が自然の堤防を削り取ってソーラーパネルを設置していたことが判明!!!|保守速報


堤防が決壊した三坂町地区(13時前)← これが被害を大きくした
ぱんだ @ホワイトさんはTwitterを使っています: "蛇口ひねれば鬼怒川温泉…… http://t.co/lN33CP0J9r"


【デマ注意】「鬼怒川堤防はソーラーパネル業者が削ったから決壊」→決壊は5km下流「事業仕分けでスーパー堤防が廃止された」→対象外です - Togetterまとめ



この写真はソーラーパネルのあった若宮戸地区だと思いますが、ソーラーパネル以外の場所からも越水しているようにも見えます。詳細な状況は、後日、わかってくるでしょう。
鬼怒川の堤防が決壊、水につかった茨城県常総市(航空写真)

鬼怒川水害「太陽光事業者の掘削が要因では」 住民指摘:朝日新聞デジタル

【茨城新聞】坂東市長 「この災害は人災」 越水 開発で堤防面低下指摘

国土交通省下館河川事務所によると、鬼怒川が越水した常総市若宮戸付近には民有地の自然堤防を掘削する形で、民間業者が太陽光発電パネルを設置した。同事務所は応急対策として大型土のうを積み上げ、それまでの高さは維持していたと説明、「削る前の状態でも水は越えていた」とした。

常総ソーラー業者正式手続き主張 市の対応に訴訟も - 社会 : 日刊スポーツ

常総市のソーラー土手、「再堤防化」案があった - 社会 : 日刊スポーツ

時事ドットコム:ソーラーパネルの影響調査=鬼怒川、越水との関連検証−太田国交相


http://www.solar-energy-i.co.jp/pdf/info150912.pdf ソーラーエナジーインヴェストメント株式会社 弊社が所有する「常総市若宮戸ソーラー発電所」と、鬼怒川氾濫に関する報道について(ご報告) 2015年9月12日

山本弘のSF秘密基地BLOG:鬼怒川決壊をめぐるデマ・3

国交省、堤防削らぬよう要望 越水、業者に昨年4月:茨城新聞

建設場所は「河川区域外」で河川法の規制外だったため、同事務所と市は同4月に業者に対し、堤防を削らないよう強く求めたが、合意に至らなかった。その後、同事務所が土地を借り上げ、業者側の了承を得た上で太陽光パネル前に高さ約2メートル、長さ約250メートルにわたって土のうを積んだという。

鬼怒川左岸25.35k付近(常総市若宮戸地先)に係る報道について | 記者発表 | 国土交通省 関東地方整備局



削られた自然堤防、進まぬ復旧作業/豪雨現場ルポ(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース日刊スポーツ 10月10日(土)10時8分配信
昨年3月ごろ、ソーラーパネル設置時に削られる自然堤防(読者提供)


ソーラー掘削直近は越水せず 鬼怒川の大規模水害 - 社会 : 日刊スポーツ